紹介患者さんの治療。

主訴は

左下の奥歯が腫れている感じがする。ここ数ヶ月この状態が続いている。治療が必要だと思う

であった。

歯内療法学的診断(2023.2.3)

#18 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#19 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(+), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility)WNL), Sinus tract(+)

#19には打診痛、圧痛、咬合痛、そしてSinus tractがあった。

ということは…場合によっては外科が必要になるかもしれない。

PA(2023.2.3)

偏近心で撮影している。

ということは近心根の向かって右側が頬側で、左側が舌側である。

つまり、

前医は何らかの事情でML根の根管形成または根管充填をしていない

ということがわかる。

CBCT(2023.2.3)

MB

MBは根管形成が十分になされている。作業長の設定位置も問題があるとは思えない。

が、問診すると

ラバーダムなんて見たことも使用されたこともない

とはっきり答えていただけた。

ML

MLの根管口付近には充填材?の存在が確認できる。

が、術者はこの簡単なMLの根管形成をしなかったようだ。

ここを攻略できれば根尖病変の治癒が得られるかもしれない。

D

遠心にも根尖病変がある。

ここも尖通が必要だ。

が、それほど病変は大きくない。

歯内療法学的診断(2023.2.3)

#19

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Re-RCT

推奨される治療は再根管治療だ。

理由は

①MLが手をつけられていない可能性

②外科治療前に再根管治療を行うことで失敗した時の選択肢を外科だけにする

という点で再根管治療にした。

が、

③もしもML根が石灰化して尖通しない場合は、支台築造だけして別日に外科治療に切り替える

という注意点も説明した。

ということで同日に再根管治療が行われた。


☆以下、治療動画が出てきます。気分を害する方は視聴をお控えください。


#19 Re-RCT(2023.2.3)

冠を除去し、セメントを除去すると多くの歯質がやはり残っていた。

メタルコアというのはそもそも歯質があまりない時に装着するものではなかったのか?と私は記憶しているが、何かの間違いだっただろうか?

メタルコアを除去した。

2つに分割した近心のメタルコアを除去する際、セメントラインを出す時に使用している道具はエンドガイドバーだ。

これがないと歯質保存的に再根管治療ができない。


う蝕検知液を使用して虫歯を除去し、再根管治療をスタートさせた。

ML根管をおおうセメントを除去すると以下の画像が目に入った。

根管充填材の代わりに汚れが充填されていた。

今年1のショッキング映像?だ。

その後MLを#25.V, #40.04, #50.03まで形成した。

使用するGutta Perchaは#40.04だ。

この後、MBの形成に移る。

この時の注意点は、

せっかく綺麗にしたML根管にMBの汚いGutta Perchaを入れない

ということである。

そのためにはこの上記の動画にあるように何かで封鎖しておけばいい。

これが生活の知恵?なのかもしれない。

MLとMBは合流している可能性が高い。

したがって、まずMLを形成してその後、Gutta Perchaを作業長まで入れる。そしてMBにファイルを入れてグリグリする。するとGutta Perchaに傷がつくからだ。そこが合流地点になる。

詳しくは、CastellucciのEndodonticsの教科書に書いてある。

結局、全ての知識は昔からの伝承できているということがわかるだろう。

そこにエビデンスなどない。(というわけではないけど)

以下の動画から、MBの作業長がいくらか分かっただろうか?

その後、根管形成した。

動画にあるように合流地点まで#25.V,#40.04,#50.03と形成していった。

時短にはぴったりである。

かなり楽だ。

時代は変わった。

ハンドファイルで竹槍のごとく敵(細菌)と戦う時代は終了したのだ。

そこにエビデンスなどいらない。

物事は簡単な方に流れるものだからである。

治療内容は以下になる。

ポイント試適してBC sealerを用いて根管充填した。Single Pointである。

MLにいれたBC sealerがMBから上がってきているのが見えただろうか?

そこが渋いが重要なポイントだ。

その後、支台築造してPAを撮影した。

M根は根尖部付近で合流していることがわかるだろう。

遠心はOver Extensionなのかもしれない。が、それは誰にもわからないしそこが予後に大きく影響を与えないのも事実だ。

が、ここで重要なのは

私はMLとMBが合流していることを術中に理解して再根管治療を行なっている

という事実である。

それが自分が学んだことを臨床にフィードバックしていることといえる。

ということで再根管治療は1回法で終了した。

次回は半年後の経過観察である。

それまで少々お待ちください。