紹介患者さんの治療。
主訴は
右上臼歯部の咬合痛
であった。
☆この後、検査動画が出てきます。気分を害する方は視聴をSkipしてください。
歯内療法学的検査(2023.1.31)
#2 Cold+4/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#3 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#4 Cold+5/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴が検査で再現できている。
が、Sinus tractが存在する。
問診すると結構長い時間存在しているようだ。
根尖孔外細菌感染が疑われる、つまり非外科的歯内療法だけでは治癒しないかもしれない。
PA(2023.1.31)
PAと口腔内検査の動画から得られる感想は、
前医は根管治療に興味のかけらもなかった
ということである。
”なぜこんなことをしないといけないのか”
というため息が聞こえてきそうだ。
それなら、何度も言うように保険診療でやらなければいい。
ただそれだけだ。
それか、誰かに任せればいい。
任せることもしない、そんな適当な治療では患者さんがかわいそうである。
それなのに、患者が来ないと嘆いている。
嘆くよりもやらないといけないことがあるのがなぜわかならないのだろうか。
それは、税金に毒されているからだろう。
税金にしがみつき、それに集る人々。。。
そこに未来があるだろうか?
まあみんな、その時は死んでるか…。
さておき、CTをCheckした。
CBCT(2023.1.31)
MB
MB2は存在するが、石灰化が亢進していて根管口が見つけられるか疑問だ。
しかも、根尖病変もある。
MB1だけの清掃で治るかどうか?はわからない。
しかもSinus tractがある。
このことは外科へのリスクを示すものだからだ。
DB
DBは本来の根管から逸れているのか?
それともそこには大きな側枝があるのか?
もはや再治療でこの段階ではわからない。
が、治癒しなければ外科治療へ移行するだけだ。
私は、私のできることをするだけである。
P
上顎大臼歯で最も簡単なP根でもこの有様である。
保険点数は日本の歯科医師から良心を奪っているようだ。
ということで診断と治療計画である。
歯内療法学的診断(2023.1.31)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Chronic apical abscess
Recommended Tx: Re-RCT
Sinus tractはあるが、前医のあまりにもやる気のない根管治療を鑑みると再根管治療で治癒できないか?と考えた。
それは無駄な治療?になるかもしれないが、やってみないと結果はわからない。
と言うことで患者さんも治療計画に同意し、再根管治療が別日で行われた。
ここで、皆さんに謝らないといけないことがある。
現状、当歯科医院では予約の都合上、2ヶ月先まで予約が詰まっている。
この方はたまたまキャンセルが出て空いている時に治療の予約が入ったがそれでも2023.3.3で1ヶ月先だ。
☆このあと、臨床動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#3 Re-RCT(2023.3.3)
除冠した。内部はレジンコアである。
ラバーダム防湿していき、再根管治療を行った。
Gutta Perchaの汚染具合が凄まじい。
多くの日本人は自分の口腔内がこう言う状況にあることを知らない。
そのくせ、外見には留意している。
まさに本末転倒だ。
SXで根管口を広げて作業長測定の準備をした。
作業長は以下になった。
MB2だが、探索したが以下の結果になった。
MB2の根管口と思しきものはあったが、SXが全く入らない。
石灰化が進んでいると思われ、これ以上の形成を諦めた。
MB1と合流しているのかもしれない。
その後、形成したがC+#10で尖通しているのでその0.5mm上は#12である。
テーパーが0.04だからだ。
ということは、
HyFlex EDM #10.05のファイルは使用しなくてもいい
となる。
これの意味がわかるだろうか?
わからなければもう歯内療法をするのはやめたほうがいいだろう。
それでもやりたい人は…学習するしかない。
また、CBCTから根管はストレートであるということがわかる。
ということは、#20.05も不要だろう。
ColtenのPDFによれば、いきなり#25.Vからスタートできる。
HyFlex EDM…まさに神のようなファイルだ。
これを使用しない理由が私には見つからない。
C+#10で穿通しているということはすでにグライドパスは終了している。
つまり、この図から言うといきなり#25.Vから開始できる。
そして#40.04で形成すれば、#35.04のGutta Perchaで根管充填ができる。
こんな便利なファイルを私は知らない。
と言うことで根管形成した。
#25.Vは容易に作業長まで到達した。
作業の関係上、作業長が短い順に形成している。
つまり、DB→MB→Pだ。
ラバーストップをいちいち引いたり、伸ばしたり、調整するのが面倒だからだ。
まあたいしたことではないけれど。
次が
#40.04である。
これで形成が終わりである。
昔のK3 File時代には考えられないことだ。
テクニカルエラーもないし、自由に根管形成ができる。
こんな道具を私は知らない。
と言うことで根管充填した。
レジンで支台築造して終了した。
口蓋側の歯質が過小と思われたので、Fiber Postを使用している。
最後にPAを撮影した。
MB2と思しき部分にあるファイル破折のようなレントゲン像は、おそらくBC sealerがMB1より根管充填の際にMB2へ流れたものであると考えられる。
しかし、どうなっているだろうか?
MB1と合流している。
この事実をどれくらいの人が知っているだろうか?
と言うことで再根管治療は終了した。
かかった時間は45分である。
ということで次回は、半年後である。
その際はCBCTも撮影してもらう予定だ。
主訴が改善し、Sinus tractが消失していることを祈っている。
それまで少々お待ちください。