紹介患者さんの治療。
紹介医からの依頼はApicoectomyであった。
昔、福岡市内に在住していて某大手歯科医院でセラミック冠を被せていた歯に異変が起きたとのことである。
患者さんの主訴は
前歯が腫れている。歯の後ろも押さえると痛い…
である。
歯内療法学的検査(2023.3.27)
#6 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#7 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#8 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
PA(2023.3.27)
紹介状によれば患歯はグラスアイオノマーで仮封してあるという。
つまり、外科後に支台築造が必要な案件だ。
そんなことしていいのか?と言えば、以下の症例が真実を告げている。
CBCT(2023.3.27)
根尖病変がかなり巨大化している。
この歯は抜歯ですね、と言われかねない状況だ。
この症例を見ると私は以下のケースを思い出す。
これからの世の中は、
物事を理解し、把握し、きちんと患者に還元できる歯科医師とそうでない歯科医師に分かれるだろう。
そうでない人はそういう人に患者さんを紹介するか、永遠に税金に縋るかしかない。
しかし、私は税金にすがろうと思わない。
逆に、私は高額な税金を払わされる方だ。。。
まあそれはさておき、診断は以下になる。
歯内療法学的診断(2023.3.27)
#7
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Chronic apical abscess
Recommended Tx: Apicoectomy→Core Build up with Fiber Post
治療はApicoectomy一択である。
ここで重要なのは、
歯根を切断してそれを根尖病変の巨大な海の中に取りこぼさない
というところである。
が、歯槽骨が吸収されている部分には通常、巨大な肉芽組織があるためそれはないと思うが、念のためである。
また、エピネフリンの効果の関係でまずはApicoectomyを行い、その後にCore build upを行うことになった。
順序が逆でいいのか?というあなたには以下の症例を見ていただければわかるだろう。
以下のCaseがその有効性を示している。
外科後1ヶ月後に支台築造しているが問題がない。
治療の順序はあまり関係がないようだ。
しかし、これだけ病変が大きいと恐らく、麻酔が効きにくいだろう。
特に病変付近をふれたときに痛みが出るはずである。
なぜか?理由が知りたい先生は、今年の麻酔のコースでお待ちしています。
https://fukuoka-endodontics.com/?page_id=811
以上を治療前に全て患者さんに告げて、初診と同日に、Apicoectomyをおこなった。
☆以下、外科治療の動画が出てきます。不快感を感じる方はSkipしてください。
#7 Apicoectomy(2023.3.27)
口角が非常に柔らかい患者さんだったので、#6の遠心に縦切開を入れている。
Apexを見つけるまでに何度か麻酔を追加している。
その意味ではこうした症例は難症例?なのかもしれない。
Osteotomyを行いApexを発見し、Root resectionした。
切断した歯根は病変の海に落下しなかった。
その後、逆根管形成しLid Techniqueで逆根管充填した。
PAを撮影した。
飛び出たGutta Perchaは回収できなかった。
が、それが治癒に影響を与えないことはこのBlogで示したとおりだ。
最後に縫合した。
次回は予約の都合で2ヶ月後に支台築造である。
再度、皆さんにご報告したい。
それまで少々、お待ちください。