バイト先の治療。
再根管治療を2018.8.28に行っていた。
当時の主訴は、
左上の奥歯治療中の歯を抜いた。その手前の歯も根の先に海が溜まっていると言われた。咬むと歯が痛い。でも、もう抜きたくない。何とかならないだろうか…
であった。
歯内療法学的検査(2018.8.28)
#13 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#14 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴が再現できた。
適切な治療を行えば、主訴が改善される可能性が高い。
PA(2018.8.28)
#15は根管治療が終わらなかったから、抜歯されたそうだ。
全く意味がわからない。
わかることは、
根管治療の保険点数が低いので面倒くさくて抜いた
と言うことだ。
それが、歯科医療だろうか?もはや単なる手遊びだ。
真実に多くの歯科医師が蓋をしている。
点数が低くて厳しいなら、そんなことはやめればいいのだ。
自由診療で誠実に請求すればいいではないか。
しかし、悲しいかな税金にすがってそれを辞める勇気がない。
だから適当な処置を続ける。
どんな業界でも同じだろうが、この業界の闇は深い。
ということで、#14はほとんど根管形成をしていない。
そして粗な根管充填がなされている。
このことは、
再根管治療によって主訴が改善される可能性が高い
ことを示している。
また、#14が主訴の歯だが、#13も状態は悪い。
が、根尖病変はなさそうだ。
とにかく…
根管治療が適当である。
そしてそういう歯には得てしてメタルポストコア、
そして、高額な補綴がなされている。
そんな人生何がいいのだろうか。。。
歯科医師になったのは何のためだろうか?
お金か?名誉か?贅沢な生活か?
その全てはあの世には持っていけないのだが。
CBCT(2018.8.28)
MB2は未着手である。が、その多く(80%)は合流することが文献でわかっている。
MBの口蓋側にPはない。
DBの口蓋側にPがある。
上顎7番のような歯牙だ。
根尖病変が大きくできている。
これが主訴の原因である。
そして、
適当な根管治療であるにもかかわらず、#13には根尖病変がなさそうだ。
これでは補綴をやりかえるという選択がない限り(それを行ったとしても)、手を出せない。
歯内療法とは不思議なものだ。
唾液の侵入はダメ、ラバーダムが重要だ!と言いながら、このように適当な?根管治療でも奏功?している時がある。
じゃあラバーダムはいらないじゃないか!と迫る人もいるが、そういう人はそういうやり方でやればいいとしか言えない。
私とは、世界の歯内療法とは、生きる世界が違う人も当然いるのだ。
そういう人とDiscussionする必要性はもうないだろうと思う。
あなたの好きな世界を追求してください。
次にそれぞれの根管の詳細を見てみる。
MB
根切をするには頬側の歯槽骨が分厚く難しい。
そして破折ファイル?Gutta Perchaの残存が見られる。
が、ほとんど治療をしていない。
ということは適切な根管形成、根管充填を行えば病変は消える可能性が高いかもしれない。
このことからも、再根管治療>>>外科治療である。
DB, P
DB, Pの根尖部にも大きな病変が見られる。
が、形成がほとんどなされていないことからここも再根管治療>>>歯根端切除術である。
歯内療法学的診断(2018.8.28)
#14
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Re-RCT
推奨される治療は再根管治療である。
同日に治療に移行した。
再根管治療後 PA(2018.8.28)
ここから5年が経過していた。
この歯の根尖病変や臨床症状はどうなっただろうか?
#14 Re-RCT 5yr Recall(2023.4.25)
#13 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#14 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
術前の打診痛、咬合痛は消失していた。いかなる臨床症状もない。毎日、快適に過ごせて
いるという。
PA(2023.4.25)
根尖病変と思しきものが見られなくもない。
が、臨床症状はない。
CBCT(2023.4.25)
根尖病変は完全に消失したわけではないが、かなり縮小している。
MB
MBのApexの病変は完全消失した。
歯槽骨に置き換わっている。
再生したのだ。
何度も言うが、これが
”真の再生療法”
である。
エンドは治るが、ペリオは治らないのだ。
DB, P
DB, Pの根尖病変は完全に消失していないが、ほぼ消失している。
術後、5年経過しているがこのまま経過を見ていいだろうと思う。
もちろん、“Good”ではないが、”Guarded(要観察歯)”としてこれからも年に1回経過を見せてもらえればいいだろう。
治療の前後を比較した。
と言うことで次回は1年後である。
その際に詳細を再びお伝えします。