紹介患者さんの治療。
主訴は、
以前治療した部分の歯茎が腫れて痛い
であった。
歯内療法学的検査(2023.5.19)
#18 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#19 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#20 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
口腔内を見ると#19の周辺にSinus tractが2個あった。
同部を押さえると痛みがあった。
Palpation(+)である。
この存在は、非外科的歯内療法だけでは埒が開かない可能性を示している。
特に、行われる治療が再根管治療であればだ。
ここは祈るしかない。
PA(2023.5.19)
#19は壊死歯髄した歯であった。
#18,20が既に治療を受けている歯であった。
まず安心した。。。
CBCT(2023.5.19)
MB
MLとMBは合流しているようだ。
ML
MLがストレート。MBがそれに合流している。
こう言う情報がわかるCBCTは非常に有効な診断ツールだ。
が、私はますますそれを購入したい!と思わなくなった。
なぜならば、うつりのいいCBCTを周りが撮影してくれるからである。
友人に聞くと、アメリカの歯内療法専門医、歯周病専門医でも持っていない人が多いと言う。
グループで購入して所有していることはあるようだが、日本人(歯科医師)は世界でも最もCBCTの所有率が高いと言う。
しかし、CBCTを持っていても…
肝心の分析能力がないので、どうしようもないことはいうまでもない。
D
M,D根、両方の根尖部に大きな病変がある。
根管治療が必要である。
その成功率は一般的には高い。90%だ。
が、どうなるか?は神のみぞ知る話である。
歯内療法学的診断(2023.5.19)
Pulp Dx:Previously treated
Periapical Dx:Chronic apical abscess
Recommended Tx: Re-RCT
と言うことで同日、再根管治療が行われた。
☆この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#19 Re-RCT(2023.5.19)
D, MLをまず根管形成し、MLにGutta Perchaを入れてMBにファイルをいれて作業長を測定しながら合流位置を探索した。
これを参考に以下のように治療を行った。
と言うことで根管充填した。
根管充填後のPAは…
不満であった。
特に遠心根がである。
患者さんに治療自体は問題ないが、遠心根の根管充填をやり直させて欲しいと伝え了承していただいた。
Basic Course 2023 第3回の日に治療に来ていただいた。
屈辱の?2回法である。
#19 Re-RCT(2023.6.18)
前回の記録通りに根管形成・根管充填をやり直した。
治療前にSinus tractがどうなったか?確認した。
すると、以下のようになった。
術前に存在していたSinus tractは2個とも消失していた。
患者さんは…なぜまた治療をしないといけないのか?という感じだったかもしれない。
が、治療費はこの日はタダである。
が、この時に…
私は再度Dの作業長を測るべきだったと思ったが、セミナー中なので早く終わらそうという気持ちがそれにまさってしまった…
また、
BC sealerを根管へ注入するチップが短いものしかなかった(FEEDのもの)のも痛いところ
だった…
ということで、PAを撮影した。
何というか…
1勝1敗の治療やり直しであった…。。。
この治療の反省点は以下である。
こうなった原因は道具の問題だ。
以下の正規品とFEEDの物品と比べてみよう。
タッパが全く違う。
これが根管充填後のPAに不満を抱いた原因である。
これ以降、私は正規品しか使用しないと決めた。
詳細はセミナーでお知らせします。
また、ここで言い訳(Excuse)をさせてもらおう。
根管充填に関してだ。
昔の偉人の論文を取り上げる。
一人はTorneckで、もう一人はSabetiだ。
昔、Friedmanに東京で言われたことを思い出した。
と言うことで忸怩たる思いで?今日はブログを閉じようと思う。
またこの患者さんの治療の結果の模様は1年後にご報告したい。
それまで少々お待ちください。