紹介患者さんの治療。

主訴は

根管治療が必要である。歯周再生療法はその歯科医院で行うので、まず根管治療をしてほしい。

であった。

この主訴だけ読解するとおそらくこの患者さんの患歯はエンドーペリオ疾患だと思われる。

エンドペリオ疾患に対するアプローチ方法は

常にエンドが先

である。

理由は、Advanced Course 2023で説明しましょう。

歯内療法学的検査(2023.6.15)

#29 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#31 Cold+3/10, Perc.(+), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

Cold testと打診痛に反応した。

Cold testに反応するということは、この歯は生活歯髄と失活歯髄が混合しているのかもしれない。

詳細をPAで確認してみる。

PA(2023.6.15)

遠心根に根尖病変がある。

このことから、

Cold testに近心根が反応して、遠心根は反応しないのだろう。

が、

それはあくまでも予測に過ぎない。

正しい歯髄の状態を予期できる臨床家はいないのだから。

また、#31はPAから、それほど長い歯根を有さない歯牙である。

遠心根は1根管で近心根は2根管だろう。

それらが合流している可能性はあるがこのPAの情報だけでは不足である。

CTを撮影した。

CBCT(2023.6.15)

MB

ML

M根には病変があるようだ。

ただ、このMLとMBが合流しているか否か?はこれだけではわからない。

別の画像では以下である。

別々に根管は走行している可能性が高い。

が、それが事実かどうか?はCTではわからない。

が、別々に走行している可能性が高いだろう。

しかしながら、治療で確かめる必要性がある。

D

Dには病変がある。

ここは1根管だろう。

扁平根管の可能性もある。

Gutta Perchaを複数本使用する可能性が高い。

歯牙を咬合面から見てみた。

扁平な近心2根管と遠心1根管の3根管性と思われる。

歯内療法学的診断(2023.6.15)

Pulp Dx: (Partial)Pulp Necrosis

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: RCT

支台築造はかかりつけ医で行うことになったので行わないことになった。

ということで、別日に治療へ移行した。


⭐︎以下、治療動画・画像が出てきます。不快感を感じる方は視聴をお控えください。


#31 RCT(2023.8.7)

以下の内容で治療した。

ところで術前の予測通り、合流はやはりしていなかった。

理由は以下の動画・画像が証明している。

Single point法で根管充填した。

根管充填後、水酸化カルシウムを根管充填材の上部に貼付し、Cavitonで仮封した。

その後、PAを撮影した。

根充後PA(2023.8.7)

D, ML, MBともにパフが確認できる。根管充填に問題がない証左である。

次回は1年後である。

またその模様は皆さんにお伝えしたい。