以前治療した患者さんの経過観察処置。

半年前に再根管治療をしていた患者さんだ。

当時の主訴は、

下顎の前歯を被せる治療をするが根が悪いと言われた。病気を直したい…

である。

歯内療法学的検査(2023.2.15)

PA(2023.2.15)

CBCT(2023.2.15)

#23

#24

#26

下顎の前歯、しかも治療済みの歯に全て病気ができている。

というより、

下顎の前歯がなぜ根管治療になるのだろうか?

そういう事案を私は経験したことがないが…

さておき、下顎の前歯の解剖学的特徴をご存知だろうか?

それをまず把握することがこの歯の治療のKeyになるだろう。

わからない方は、Basic Course 2024でお待ちしています。

歯内療法学的診断(2023.2.15)

#23,25,26

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Re-RCT

推奨される治療は再根管治療である。

理由は根管治療がほとんどなされていないからである。

以下の90%に該当する。

それでも治癒しなければ、Apicoectomyであろう。

同日に治療へ移行した。


☆この後、口腔内の 検査動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#23,25,26 Re-RCT(2023.2.15)

作業内容は以下である。

#23

#25

#26

それぞれ、#40.04まで形成している。

そして#35.04のGutta Percha Pointで根管充填している。

この業界で有名な話で、

根管充填の方法(Single, Lateral, Vertical)で予後に差は出ない

ということは、

臨床家は最も簡便な方法で根管充填するべきだろう

と言える。

根管充填に時間をかける必要性はないのだ。

Single Point法で根管充填し、術後にPAを撮影した。

ということでこれから半年経過したのがこの日の経過観察である。

根尖病変は治癒しただろうか?

私の術前の予想(成功率90%)はどうなるだろうか?


#23,25,26 Re-RCT 6M recall(2023.9.4)

主訴は改善しただろうか?

歯内療法学的検査(2023.9.4)

#22,23,24,25,26で検査したが全ての歯がPalpation(-)であった。

再根管治療で術前の痛みが改善した。

PA(2023.9.4)

術前の根尖病変はかなり縮小しているように見える。

CBCT(2023.9.4)

#23

#24

#26

どの歯も根尖病変はかなり縮小している。

再根管治療の効果が出ているようだ。

が、これは術前からわかることだ。

ほとんど根管形成されていなかったのだから。

このように、

(再)根管治療は、治療する前に治療した後の結果が予測できる唯一の歯科治療

であろう。

術前と半年後を比較した。

術前(2023.2.15)vs #23,24,26 Re-RCT 7M recall(2023.9.4)

次回はさらに半年後の2024.3である。

そこで1年になる。その際にまた詳細をご報告したい。