紹介患者さんの治療。
昨日の記事の続報。
主訴は、
左上奥歯の根の先に膿が溜まっていると言われた。治療してきちんと治したい
歯内療法学的検査(2023.8.29)
#11 Cold+3/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#12 Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#13 Perc.(+), Palp.(++), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#15 Cold+2/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#12も再根管治療を依頼されていたので治療の続きをこの日に行った。
PA(2023.9.28)
CBCT(2023.9.28)
この日から当歯科医院にもCBCTが導入された。
それをアップしよう。
このソフトこそ、私がUSC時代に使用していた
CareStream社のCBCTだ。
ヨシダから販売されている。
ヨシダはもはや、我が国のレントゲン市場で他社の追従を許していないだろう。
圧倒的な画質の良さ、使いやすさは業界の盟主と言える。
ちなみに、私はヨシダのスピーカーではありませんので悪しからず。
このCBCT像から何がわかるか?といえば、
恐らくこの上顎第1小臼歯は1根管性であろうと言う予想ができる。
解剖学的な研究では以下になる。
Vertucci 1979 Root canal morphology of the maxillary first premolar
1根管性・・・26%
2根管性・・・69%
3根管性・・・5%
このうちの1根管性である可能性が高い。
そして、2個Gutta Perchaが挿入されていると言うことは、この歯の根管形態はVertucci Type2である可能性が高い。
またこの日、前回治療した#13の状況を聞くと、
前回の治療ですが、今まで治療をしてもスッキリといかない感じがかなりありましたが、今回は今までの治療と全く違うものでした。とにかく、その効果に驚いてお友達にも話しました。同じ治療でも、専門医と一般医とではこんなにも違うんですね…今日の治療もよろしくお願いいたします。
と言う嬉しい感想が聞けた。
この日はその1歯近心の#12の再根管治療である。
#12 Re-RCT(2023.9.29)
チャンバーオープン後にメタルコアが装着されていたが、切削して全て除去した。
その後、セメントとGutta Perchaを除去したが、SXでコロナルフレア形成をしてGutta Perchaを除去していった。
作業長を測定した。
術前のCBCTの情報より、BとPは合流している。
上顎の機能咬頭はPであるので、非機能咬頭のB側が直線根管であるので、B根管を基準にして同部にGutta Perchaを入れてP側にファイルを入れて傷がついた部分が合流地点である。
BでのRILが19.0mmであったので作業長は18.5mmだ。
それからするとP側の作業長は16.5mmになることがわかる。
しかし、こんなことは…
Googleにフリーで落ちている教科書に載っている。
ただし、英語だが。
英語だと嫌う人がいる。
それは…
受験英語に毒されている。
英語は現在、そして未来も世界の公用語だ。
それが変わることは多分ないだろう。
意味がわかれば、誰でも頭から読んで理解することができる。
難しい英語は、日本の大学受験のものだろう。
その悪い影響から脱した人だけが真実?を手にいれることができるだろう。
さて、CBCTから#12は直線根管であるので、Bは#25.V→#40.04まで形成を行なっていく。
次が#40.04だ。
根管内にNaOClを充満させ、Patency Fileした。
術後疼痛を予防するためである。
また、シーラーパフを保証するためにもこの治療行為は必要不可欠だ。
次がPである。
PはK #25で傷をつけているので、#25.V, #40.04はReference Pointまでラバーストップが落ちていった。
と言うことは、この二つのファイルは使用しても無意味だということがわかる。
つまり、#60.02しか使用できない。(私はHyFlex EDM #50.03を使用していないのでそう言う意味になる)
#60.02でP根を合流地点の16.5mmまで形成した。
BC sealerを使用してSingle Pointで根管充填した。
溢れたBC sealerを除去した。
支台築造した。
咬合調整後に、PAを撮影した。
問題はない。
次回は1年後の2024.10に1yr recallである。
またその模様をお伝えしたい。