バイト先での経過観察予定であった患者の顛末。
(昔の歯科医院で治療を行っている)
70代女性。
主訴は右下の痛み。
患者は癌の治療を行なっており、歯科治療(Apicoectomy)に影響は出ないのか?と聞かれたが私の知る限りそのようなエビデンスはない、と言う返事をさせていただいた。
初診時(2017.5)
右下の臼歯部に歯内療法学的検査を行なった。
#29:Cold+3/6, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Pocket(WNL), Mobility(WNL)
#30:Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(+), Perio Pocket(WNL), Mobility(WNL)
#31:Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Pocket(WNL), Mobility(WNL)
PAは以下のようになった。
右下臼歯部にはGoldのクラウンが装着されたばかりであった…
それを外して再根管治療するにが筋だが外部からの依頼で助けてくれ!と言うものであったので外科治療(Apicoectomy)を行うことが決定した。
ちなみに右下臼歯部はApicoectomyが極めておこないにくい場所である。
が、この患者は広角が柔らかいのでそこまで難しい治療にはならないと考えられた。
2017.6.30 Apicoectomy
MTAで逆根充している。
一般的に外科治療には治癒には1年と言う時間が必要である。したがって経過観察をこの後はおこなって行った。
処置後半年経過(2017.12.12)
だいぶ根尖部が治癒している。
処置後1年経過(2018.5)
と言う段階でこの後、私が倒れてしまったために経過観察ができないでいた。
しかも歯科医院も取り上げられてしまったためこのバイト先の歯科医院で3年ぶりの経過を見させていただくことになっていたのだが、受付けの女性から以下のような伝言を授かった。
“左下はさらに抜歯になりましたが今、右下はどうもありません。しかもコロナも流行っているしあまり福岡に行きたくないんです…年金暮らしでお金もありませんのでまた時間ができたらご連絡いたします。”
なるほど…これはていのいい、さよならメッセージだ。
多分、私はもう2度とこの患者に会うことはないだろう。
なぜこう言うことになるのか?といえばもうこの患者は右下臼歯部の痛みがないので安定しているのだろう。
自分が治療した患者が100%戻ってくるわけではないので、まあこう言うこともあるだろうと言うのが正直なところだ。