紹介患者さんの治療。

主訴は、

矯正治療をするので問題がある歯牙の治療を勧められて来た。症状はないが、矯正治療をするので、きちんと治したい!

であった。

歯内療法学的検査(2023.10.10)

#13 Cold+1/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#14 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#15 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

治療前に症状はない。

主訴通りの検査結果であった。

PA(2023.10.10)

MB根に根尖病変と思しき透過像が見える。

ここに問題があるかもしれない。

CTも撮影した。

CBCT(2023.10.10)

MB1

患者によれば、前医はハンドファイルで根管治療したという。

終了するのに数ヶ月要したそうだ。

その結果、

レッジができてあらぬ方向へトランスポーテーションしている。

そして治療中(もちろん、無麻酔での根管治療…まさに拷問だ。。。)、痛かったという。

すると、

神経はもうないんだから痛いなんてことはない!と怒鳴られたらしい。

御愁傷様だが、こんなことも知らない歯科医師に誰が治療されたいと思うだろうか?

私は思わない。

このことからも世の中の歯科医師の90%はDQNであるということを表しているだろう。

そして、

保険診療すると歯が悪くなる。

これは不思議なことではない。

なぜそうなるか?は、日本の医療保険の仕組みを考えるとわかるだろう。

MB2

MB2は全くいじられていない。

根管形成をするのを放棄された感じだ。

根尖部に病変もできている。

ということは、適切に治療するとシーラーパフがあるはずだ。

いわゆる、

オーバーフィリングの状態に再根管治療ができれば、そうなるだろう。

そして80%はMB1, MB2は合流しているはずだが、このケースでは判然としない。

合流しているだろうという体で再根管形成・再根管充填を試みて、臨床的に判断するしかなさそうだ。

DB

No rubber dam, SS Hand Fileでの治療であったにもかかわらず、ここには病変ができていない。

このことから、DBには問題がないことがわかる。

P

最後にP根だが、ここにも病変はない。

このことからここにも、問題はなさそうだ。

歯質があまりないので、ポストが必要かもしれない。

その際は、Gutta Perchaを歯槽骨よりも底部まで除去する必要がある。

以上の分析から、

MB1の形成ミスの修正

MB2の発見と形成

がこの再根管治療を奏効させる、最低条件であるということがわかる。

歯内療法学的診断(2023.10.10)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Re-RCT

ということで、同日治療へ移行した。


⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#14 Re-RCT(2023.10.10)

3根管が顔を出した。

さて、ここからMB1をまず攻略していく。

MB1のGutta Perchaを除去していく。

使用しているのは、

クロロホルム

短針

ProTaper SX

の3つである。

Single Pointで根管充填した根管治療の歯の成功率を算定したChybowski 2018の文献通りの除去方法だ。

それぞれを使用した理由を述べると、

クロロホルムは、Gutta Perchaを溶かすためと、抗菌効果を期待して使用している。

短針は、クロロホルムを入れて根管を突くために使用している。これで大まかなGutta Perchaが除去できることが多い。これは上述のChybowski 2018の文献には書かれていない。

ProTaper SXはコロナルフレア形成のために使用している。

この3つがあらかた達成できると、穿通できるか?をC+ File #10,8,6等を使用して確かめていくのだ。

あらかた除去し、C+ File #10で穿通した。

ということは、

レッジが云々ではなく、前医は根管治療を面倒臭いからしなかったということがこの時点で判明する。

そう、これが保険診療の根管治療だ。

よく覚えておこう。

RILは18.0mmであったので、作業長は17.5mmとした。

直線根管なので、HyFlex EDM #25.V→#40.04まで形成し、Patency Fileをした。

これでMB1の形成は終了である。

次が未着手のMB2である。

MB2の位置を復習しよう。

この場合は、CBCTに戻ることをお勧めする。

MB2はこの位置にある。

ミラーで見ると、以下のようになる。

MB2の位置は、MB1よりもまっすぐ口蓋寄りだ。

そこを探索してみよう。

SXでコロナルフレア形成すると、MB2が顔を出した。

ここで作業長までGutta PerchaをMB1に挿入し、MB2にC+ File #10を入れてグリグリやってみた。

 

Gutta Perchaに傷はついていない。

このことからこのMB2はMB1とは合流しない、いわゆる、Vertucci TypeⅣになると考え、作業長を計測した。

すると、18.0mmとなり、作業長は17.5mmとして、Reference PointもMBにて再根管形成していった。

MB2もMB1と同様に直線根管なので、HyFlex EDM #25.V→#40.04まで形成し、Patency Fileをした。

その後、#40 Paper Pointで乾燥し、BC sealerで根管充填した。

支台築造し、PAを撮影した。

MB2が充填できているか?偏心撮影でも確認ができない。

CTも術後に撮影した。

MB1

MB2

MBの部分を拡大すると、以下になる。

MB1

MB1からはパフが見られる。

MB2

MB2からもパフが見られている。

緊密に根管充填ができていることの証左である。

ということで、この日の治療は終了した。

次回は、半年後の2024.4に6M recallである。

また詳細を報告したい。