紹介患者さんの治療。
主訴は
右下の奥歯を抜かないといけないと言われたが残したい!
であった。
患者さんはその後、某病院歯科に行くが、
抜歯を考えた方がいい
と言われたそうだ。
なぜそうなのか?といえば、患者さん曰く、
神経の管が石灰化しているので先まで掃除ができない
と担当歯科医師に言われたいうことだった。
専門的にいえば、石灰化根管で根管形成ができないという意味なのだろう。
まずは検査をした。
歯内療法学的検査(2023.8.16)
#29 Cold+1/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#30 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#31 Cold+1/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴の歯は仮封がしてある#30だろう。
PA(2023.8.16)
近心根はトランスポーテーションをしている可能性が高いだろう。
エンジンリーマーで機械的に削合してしまったのが問題だ。
その際、患者さんが痛みに耐えられず、
痛い!
というと、
はっ?神経なんてもうないんだから、痛いわけないでしょ?!と担当歯科医師に恫喝された…
そうだ。
無麻酔で治療されれば痛いに決まっている。。。
根尖部1/3だけではなく、歯牙の至る所には側枝というものが存在するという事実を知らないのだろうか?
どう考えても当たり前のことがわからない、日本の歯科医師にはもう何を言っても無駄だろう。
いずれにしても、アメリカでは考えられない低レベルの歯科医療だ。
空いた口が塞がらない。
CTも撮影した。
CBCT(2023.8.16)
O
近心根がラッキーなことに1根管だ。
が、Radixがある。
ここに病変があれば、頭が痛い。。。
M
すでにあらぬ方向へ形成されている感じがする。
であれば、
再根管治療は奏効しない。
が、いずれにしても確かめなければならない。
D
遠心根にも病変があるが、根尖部まで形成ができていないように見える。
もしできていなければ、再根管治療は奏効する可能性が高い。
それは…実際の治療で確かめなければわからない。
Radix
Radixにも病変がある。
根尖部が触られているかどうかは、実際に治療をしてみないとわからない。
そう。
外科治療だ!(Apicoectomyだ!)という前に、まずは再根管治療をして、それが意味があるかどうか?(形成が意味を持つか否か)を確かめなければならない
のである。
歯内療法学的診断(2023.8.16)
Pulp Dx: Previously initiated therapy
Periapical Dx: Chronic apical abscess
Recommended Tx: RCT/Apicoectomy
治療計画は、まず(再)根管治療をしてみて、それに意味があるかどうかで治療内容が決まるパターンだ。
別日に治療が行われた。
⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#30 Re-RCT(2023.9.14)
仮封を除去し、D, Radix, Mの順に根管形成をしていく。
以下のようになった。
根充後、PA, CBCTを撮影した。
Post- Re-RCT CBCT
M
D
Radix
Radixに病変があるように見えるが…
Mの病変がRadixの病変!のように?!見える。
この治療からわかることは…
M根は何の変化も起きないだろう。
ここはApicoectomy決定的だ。
D根は治癒する可能性がある。
RadixはM根の根尖病変に影響を受けている可能性があるが、どうなるかは時間が経過しないとわからない。
ということで別日に#30のM根のみのApicoectomyとなった。
またその模様は次回以降にお伝えします。
少々お待ちください。