紹介患者さんの治療。
主訴は
歯茎が腫れた。歯に痛みはないが…
であった。
歯内療法学的検査(2023.10.12)
#11 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#12 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#13 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#14 Cold+3/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#12,13が患歯のようだ。
PA, CBCTを撮影してみた。
PA(2023.10.12)
#12は生活歯髄療法がなされている。
#13は根管治療済みで、ゴールドクラウンが装着されている。
他院に行った時、
#13はもう治療不可能だ
と言われたらしい。
は?
Apicoectomyもあるし、それがうまくいかないならIntentional Replantationもあるのに、だ。
日本の歯科医療はどうにかしてImplantへと誘導しようとしている。
が、多くの日本人はそれはNo!だ。
このBlogを読んでいるかもしれない、奇特な?あなたも歯牙を残したければ、まず、米国歯内療法専門医の歯科医院に行ってみよう。
きっとそこには、違う価値観があるはずだ。
CBCT(2023.10.12)
#12
B
頬側は根尖病変で皮質骨が溶けている。これが、Palpation(+)になっている理由だろう。
P
P側根尖部は溶けて上顎洞と繋がっている。
このまま進めば…歯性上顎洞炎は避けられない。
が、今は何も症状がないようだ。
#13
にも問題があるが、これは後ほどの投稿でお伝えしよう。
歯内療法学的診断(2023.10.12)
Pulp Dx: Pulp Necrosis
Periapical Dx: Chronic apical abscess
Recommended Tx: RCT
根管治療の成功率は90%だ。
ただ、Sinus tractがある。
このことは、根管治療を適切に行っても、外科治療の可能性があるということだ。
そのリスクは必ず説明しなくてはなならない。
そう、私のようになるからだ涙
私のIntentional Replantation日記①…#31 RCT+Core build up 1yr recall
ということで、同日、治療へ移行した。
⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#12 RCT(2023.10.12)
チャンバーオープンして歯髄壊死なら…出血はほとんどないはずだ。
さあ、私の検査は正しかっただろうか?
正しかったようだ。
SXで根管上部を拡大し、作業長を測定した。
以下のようになる。
この時点で、ここまでは決めることができる。
が、根管充填に使用するGutta Percha等は臨機応変に変化する可能性はある。
根管形成をしていった。
どちらから?と言えば、非機能咬頭で直線根管のBからだ。
と言ってもあまりこのケースでは違いはない。
それぞれを#25.Vで形成した。
よく洗浄し、次が#40.04だ。
ということで以下の表になる。
根管充填に使用するGutta Perchaは#35.04である。
Single Pointで根管充填し、術後にPA, CBCTを撮影した。
Bは側枝にもシーラーが入っていた。
もちろん、たまたま入っただけである。
Pは根尖孔が顕微鏡で見えたので、シーラーを逸出させるという治療行為自体を行なっていない。
作業長も、WL=Apex-1.0mmにした。
異物の溢出を意図的に避けているのだ。
つまり、
私の理想の
根管充填となった。
治療は20分で終了した。
なぜ、貼薬しないのか?って??
貼薬した方がしないよりも治る(成功率が高い)のならするが、そういう文献はないから
だ。
ということで、次回は半年後である。
また経過を皆さんにお伝えしたい。