紹介患者さんの治療。

主訴は、

歯茎が腫れた。押さえると痛みがあって膿が出てくる…アメリカで(しかもEndodontistが)数回根管治療をしたのだが…

であった。

歯内療法学的検査(2023.11.20)

#30 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(++), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

#31 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#30の遠心根付近にSinus tractがあり、同部を押さえると強い痛みがあった。また咬合痛もみられた。

適切な治療をすると主訴を改善できる可能性があるが…Sinus tracの存在が。。。

外科になるかもしれない。


⭐︎この後、検査動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


主訴は再現された。

あとは適切な治療だ。

PA、CBCTを撮影した。

PA(2023.11.20)

遠心根に病変が見える。

そしてほとんど根管形成をしていない。

が、これが本当にアメリカのEndodontistが行った根管治療だろうか?

私にはとてもそう思えない。

これは…

GPのなんちゃって根管治療だ。

よく聞くと、治療したのは某国の自称Endodontistらしい。

特定の国の批判になるのでこのBlogでは差し控える。

が、逆にいえば、この状態は再根管治療で状況を改善できる可能性がある。

が、Sinus tractがある。

このことは外科治療へ移行する可能性をはらんでいる。

詳細をCTでCheckした。

CBCT(2023.11.20)

MB

Mの頬側には病変がある。

ここは穿通が必要だ、というよりもMB, MLが合流している根管であるのでどちらかが穿通すればいいだろう。

ML

Mの舌側には病変はない。

D

遠心根には大きな病変がある。

VRFか?どうか??は内部・および外部を精査しないとわからない。

治療時は要Checkだろう。

歯内療法学的診断(2023.11.20)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Re-RCT

ということで、患者さんは非常勤の先生を希望されたので、別日での治療になった。

破折か否か?は治療時にわかるだろう。


⭐︎この後、治療画像/動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#30 Re-RCT(2024.1.19)

D根にはVRFは再治療で確認できなかった。

作業内容は以下である。

ポイント試適した。

PAでForamenからはみ出ていたので、Gutta Perchaを変更した。

問題ないと思われる。

根管充填した。

楕円形の根管(D)の場合はこのように複数Gutta Percha Pointを挿入しないとしょぼい根充に見えてしまう。

これはよく覚えておきましょう。

最後に、PAを撮影した。

次回は半年後である。

また経過をお伝えしたい。