バイト先での治療。
主訴は、
右側で硬いもの(せんべいレベルでも…)が噛めない。。。
であった。
歯内療法学的検査(2024.5.28)
#2 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#3 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#4 Cold+1/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴が再現できている。
どうやら患歯は#3のようだ。
PA(2024.5.28)
断髄して保険のInlayが装着されている。
そしてそれは、不適合だ。
MBには病変があることがわかる。Pにも見える。
が、それは保険診療が悪い!おれはできることをしたんだ!!
と言う歯科医師に未来はないだろう。
そんな自尊心(それは言い訳という)は患者の人生と何の関係もないからだ。
あなたの言い訳で、患者が治るならいいが、そんなことは患者はどうでもいいのである。
治してくれない人に要はないし、そこに行くこともないのである。
あなたの歯科医院には患者さんがいますか?
いないですか?
いない理由がわかりますか?
患者さんから求められる歯科医師になってないからです。
CBCT(2024.5.28)
MB
MBには根尖病変的な透過像が見える。
ここは…穿通が必須だろう。
が、穿通できるだろうか?
それはCBCTを撮影すると予測できるだろうか?と言えば、予測できない。
が、ここは穿通させ、根管形成しなければならないことだけはわかる。
DB
DBは石灰化根管である。
が、根尖病変はない。
ということは…無理にここを発見して形成して根管充填する必要性はないだろう。
ここは、時間があれば、形成すればいいとわかる。
P
Pは病変があり、上顎洞と交通しているように見える。ここも、穿通が必須だ。
が、それが可能だろうか?といえば、やってみないとわからない。
が、以上より、
MB→穿通形成必須
DB→時間があれば形成してもいいが、病変ないので重要度低い
P→穿通形成必須
とわかる。
順序としては、
P→MB→DBと進めるべき
だろう。
理由は、
Pの病変が治らなければ、パタラルフラップか、MB,DBを短く切断してのIntentional Replantationが必要になるからだ。
それは避けたい。
ということで、診断は以下である。
歯内療法学的診断(2024.5.28)
Pulp Dx: Previously initiated therapy
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: RCT
ということで、推奨される治療は根管治療だ。
⭐︎この後、治療画像/動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#3 RCT(2024.5.28)
まずPから探索した。
思しき部位を短針でつくが、
“入っていく感じ”=Sticky感
がない。
こういう際に有効なのが、Munce burとDoWell Dentalの鋭い短針だ。
Munce burで当該部位を削り、DoWell Dentalの短針で根管口と思しき部位をつくと、
入っていく感じ
がした。ここがP根の入り口だ!と確信した私は、ProTaper GoldのSXを挿入し、コロナルフレア形成した。
すると上の動画のように根管口の入り口が判明したのである。
そこの作業長を測定すると、20.0mmであった。
しかし、やはりこういう場合は、
Munce Discovery burs
が非常に有効であるということがわかる。
また、
鋭い短針
も、だ。
これらは日本で販売されていない。
そう。
なので、
かつて、某歯科業者が、怪しい歯科医院(うちのことであるw)には、歯科材料は納品できない!
と言われても、私は困らなかったのである。
ということでわかるように、
私が欲しい道具はもはや日本にはないw
という事実がここでも発動している。
ここは直線根管なので、#25.V→#40.04まで形成して、#35.04のGutta PerchaでBC sealerとともにSingle Pointで根管充填すると決めた。
次がMBである。
MBの部位は、
MBの頬側寄りにあるとわかる。
ここでも根管治療の趨勢を決めるのはやはりPAではなくてCBCTだ。
もはや、歯内療法には必要不可欠な道具だとわかるだろう。
頬側寄りを精査した。
すると程なくしてMBが発見された。
ここも作業長を測定し、RIL=19.0mmとし、湾曲もそれほど強い根管でなかったので、#25.V→#40.04と形成し、#35.04で根充した。
最後が、DBだがこの歯科医院は次に患者さんがいたので探索は諦めてそのまま支台築造した。
したがって作業内容は以下である。
DBは病巣なし
と記載されているが、
はい、そこには “病巣” なんてありませんよw
でもこれはアシストについてくれた、歯科衛生士さんが記入したものなのでご勘弁を。
最後に、PAとCBCTを撮影した。
この会社のPAはかなり見にくい。
その意味でも、
PAの業界王者はヨシダのVista Scanである
ということがわかる。
CTを撮影した。
MB
MB2が形成できてねえじゃねか!というあなた。
できますか?
私は、たとえそれができなくても、治らなければApicoectomyができるのです。
なので何の問題もありません。
つまりここでも、
Apicoectomyができなければ、歯内療法は成立しないという法則が発動している
のである。
また重ねていうが、
この会社のCTは見にくい。
ヨシダ(CareStream社)が、CTでも業界の王者である
ということがここでもわかるだろう。
DB
DBはどうにかしよう!と最初から思っていないのでこのままである。
何か起きても、Apicoectomyで処理すればいい。
つまり、
外科治療ができなければ、歯内療法はできない
という法則がここでも発動している。
P
Pも問題ないだろう。
ここが問題なく処置できた!というのが歯内療法で最も重要である。
この言葉の意味がわかりますか?
ということで、次回は1年後である。
またその際に、お伝えしたい。