今週は久々に根管治療があった。

というのもご存知のように世の中はコロナウィルスに翻弄されている。

私のバイト先もコロナウィルス感染を忌み嫌う患者が多いのだろう。

予定は次々にキャンセルになった。

そしてTVやネットを見れば、1日何百人〜千人という感染者が出ている有様だ。

この世も終わったなという状況の中、一方でアメリカはどうだろうかと調べてみたり、大学院院時代の米国に在住する友人に聞いてみると、もうコロナウィルスのワクチンを2回打ったとか、次の7月で2回目だとか日本とはかなりの差がある。ロスに至っては集団免疫を獲得するという。

米LA、7月にも集団免疫 すでに6割がワクチン1回接種

米ロサンゼルス 7月中にも集団免疫獲得の見通し

米ロサンゼルス郡、全ての医療従事者にワクチン接種開始

LAは昨年の12月から全ての医療従事者にワクチン接種が開始されているという。

日本とは雲泥の差だ。

このような状況で我が国は何をしているのか?と言えば、未だ我々医療従事者に対するワクチンも確保されていないし、いつ注射を打てるのか?もわからない(一説によれば来週か?再来週?らしいが…)。

何より筋肉注射を打てる医療従事者がいないという。

これで先進国といえるだろうか?

医療従事者は数が多く不要だという声がかつてあったが、本当にそうなのか?

と言えばそれも疑わしいだろう。

偉い人が決めたルールに我々歯科医師は従わなければならない。

それがどんなに理不尽でも、だ。

私の知り合いに看護師がいる。

その人に話を聞いた時、

“この世界に入る前と入った後では話が違うことが多い、特に待遇面に関しては”

ということであった。

言われていたような給料をもらっている医療従事者はいないのだという。

そして人がいるところには集まるな!とお願いしていた某団体の会長とその幹部が全員勢ぞろいして集まってたのは皆さんもご存知だろう。

日本医師会会長 パーティー参加で陳謝、自民・自見議員は陳謝も・・・

上級国民は何をやっても許されるそうだ。

この国は平等ではない。

が、他国に比べて進んでいるのだろう?と思っていた。

が、どうも違っていたようだ。

このコロナに対する対応一つとっても、この国の有様はひどいものである。

この国は先進国ではなかったのだ。

医療も、人としての矜持も、プライドも何もない。

日本の歯科医療のようである。


ということで、話はバイト先での治療に移る。

患者は30代男性。

右下小臼歯部が痛むという主訴であったが、初診時にその痛みはなくなっていた。

歯内療法学的検査は以下のようになった。

#27: Cold+3/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

#28: Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(+), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

#29: Cold+4/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

#30: Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

PAは以下のようになる。

Pulp Dx: Previously treated

Periapilcal Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Re-RCT+Core build up

冠とポストコアを除去し再治療が必要である。

根尖病変があるので治療の成功率は穿通ができれば60~70%というところだ。

ということで再根管治療が行われた。

伝達麻酔を行い、冠を除去し、ラバーダムを装着し、ポストコアを除去した。

その後根管治療が行われた。

以下のような治療が行われた。

RIL=17.0mm, Reference Point=L, IBF=K File#35, MAF=ProTaper Gold F5

MAFはProTaper F5であるが、実際はHyFlex EDM #40.04→HyFlex EDM#50.03→HyFlex EDM#60.02→ProTaper Gold F5という流れである。

拡大号数そのものとテーパーを向上させて細菌のReductionを図っている。

が、それで根尖病変が治癒するかはやってみなければわからない。

F5を試適してPAを撮影した。が、この患者は口腔内が非常に狭く試適のPAを撮影するのにかなり苦労した。

以下のPAが最良のPAであった。

デンタルのマークと被っているがまあ見分けられなくはない(根管内にGutta Perchaがあるだろう)のでこれを最良として根管充填+支台築造処置に移行した。

また、この患者さんにはその他の歯にも問題があるところが多い。

#30.

#19

#20,21

#20,21は補綴物を再製するのであれば再治療が必要だろう。

どのような歯科医療を選択するかは患者さん次第であるが、決して視界が良好とは言えない。

全顎的な治療が必要になる可能性も高い。

世の中がコロナで翻弄されているのにこんなことを記事にするしかない、歯科医師という仕事は国民の健康を守っているのか?と自分を責めてしまうことが多いが、わかる人にしか通用しないということもわかっている。

そういう人は国民の10%だろう。

これからもその10%を相手にするしかないのだ。