バイト先での治療。

主訴は、

3週間前から左の奥歯でものが噛めない。噛むと強い痛みがある…

であった。

歯内療法学的検査(2023.12.8)

#13 Cold+3/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#14 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#15 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#14,15が主訴を再現している。

ここが咬合痛の原因歯だろう。

PA(2023.12.8)

CBCT(2023.12.8)

#14は2根管、#15は1根管である。

そう。

まるで、#12,13の関係性に似ている。

この歯は大臼歯だが、事実上、小臼歯の再根管治療だろう。

#14 B

#14 P

#14はB根には何もないが、P根には根尖病変がある。

ここは穿通が必須だが、術前の歯牙を見ると…

とても適合がいいクラウンが装着されているとは言い難い。

#15もだ。

事実、この後クラウン・コアを外すと以下のようだった。

とても適合がいい修復物が装着されていた!とは言い難いだろう。

このリーケージが根尖病変を作成したのかもしれない。

#15

#15は1根管だ。

また、アンダー形成で、根尖病変ができている。

上顎洞炎にも罹患しているようだ。

穿通できれば…勝負に勝てるだろう。

歯内療法学的診断(2023.12.8)

#14,15ともに

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Re-RCT

ということで、別日に再根管治療へ移行した。


⭐︎この後、再治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#15 Re-RCT(2024.3.26)

C+8で穿通し、作業長が14.5mmであったので、-0.5mm引いた長さを作業長とし、#60.02まで拡大形成した。

なぜ#40.04でストップしなかったか?は感覚的なものだ。

強いていえば、#25.Vでの形成量が十分でないだろうと判断したから

である。

上記の画像にある通りだ。

アピカルストップがついているので私が研修会で述べる通り、誤差を意識し、MAFよりも小さなサイズの#35.04のGutta PerchaとBC sealerでSingle Pointで根管充填した。

またこの時のコツは、根管形態が楕円形であるので、Gutta Perchaを複数本入れることである。

さもなくば…根充後のPAがしょぼく見える。

これらの事実は、BC sealerでSingle Pointで根充した史上初の文献である、

Chybowski 2018 Clinical Outcome of Non-Surgical Root Canal Treatment Using a Single-cone Technique with Endosequence Bioceramic Sealer: A Retrospective Analysis

にも記載されている通りである。

#14 Re-RCT(2024.3.26)

根尖病変はPにあるのでPを穿通させなければならない。

しかしながら、

HyFlex EDM #10.05,

RaCe EVO #10.04,

RaCe EVO #10.02,

でつついたが穿通できなかった。

ここで#14も根管充填し、支台築造した。

最後に、PA,CBCTを撮影した。

#14 B

#14 P

#15 B

#15 M

側枝からシーラーがパフしていた。

緊密に根管充填できたことの証左である。

ということで次回は半年後だ。

穿通した#15、穿通しなかった#14は治癒するだろうか?

また半年後に詳細をご報告したい。