紹介患者さんの治療。
主訴は、
左上奥歯の歯茎が腫れた。1週間前から重い感じが続いている。以前治療した歯が悪いのだろうか?何度か治療したのだが…
であった。
歯内療法学的検査(2024.4.2)
#13 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#14 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#15 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#13,14が問題の歯のようだ。
PA(2024.4.2)
#13,14は再根管治療がなされているが、
根管形成が甘い。
また、この治療は当然のようにラバーダムを使用していない。
これでは…Sinus tractができて当たり前である。
CBCT(2024.4.2)
#13
#13のPalpation(+)なのは頬側の皮質骨がPerforationしているからだ。
しかも形成が太い。
再根管治療はおそらく厳しいだろう。
#14 MB
MBは石灰化している。
穿通が必須だが、そうなるかどうかはトライしてみないとわからない。
穿通しなければ…Apicoectomyが必須だ。
#14 DB
DBは完全に石灰化している。
が、病変が根尖部にない。
ということは、ここは何もしなくてもいいだろう。
こういう判断があなたはできるだろうか?
できなければ…永遠に何も変わらないだろう。
#14 P
#14はP根が根管形成不全、根尖病変がある。ここは再根管治療でマネージメントできるだろう。
まとめれば、
まず再根管形成できるか?検証し、できなければApicoectomyへ移行する
という考えである。
CTと口腔内の状況は違う。
違う時に何が重要か?といえば、Apicoectomyできるかどうか、だ。
Apicoectomyできなければそこで治療が終了してしまう。
できれば…治療には希望の光が見えるだろう。
ということで診断は以下である。
歯内療法学的診断(2024.4.2)
#13,14
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Re-RCT
ということで治療は再根管治療だ。
同日、治療へ移行した。
#13,14 Re-RCT(2024.4.2)
#13のRe-RCTから開始した。Metal Post Coreをまず除去している。
その後、Gutta Perchaを除去するが…
大流血だ。
しかも形成できるファイルがない。
つまり、この時点で外科が決定的だ。
BC sealerで充填した。
その上をBC puttyで封鎖している。
こうすれば、外科時にGutta Perchaの残渣に悩まされないで済むからだ。
次が#14である。
まずメタルコアを除去し、P根から再根管治療していった。
メタルコアを除去後、C-solutionを窩洞内に入れ、K File#20で尖通させ、作業長を測定し、その後、HyFlex EDM #25.V,#40.04,#60.02,そしてProTaper GoldのF5まで形成している。
この趣旨は、
HyFlex EDMで根尖部の拡大を図り、細菌の可及的減少を図り、
ProTaper Gold F5でテーパーをつけた形成をし、さらなる細菌の減少を図っている。
それで上手くいくか?は神様が決めることである。
また、MBにはファイルすら入らなかった。
形成ができないのである。
この時点で、#13,14ともにApicoectomyが決定した。
この後、BC sealerとGutta Perchaの#60.04を用いてSingle Pointで根管充填した。
Core build upし、PA,CBCTを撮影した。
ということで、再根管形成を行ったが#13,14 MBともに有効でなかったため、別日にApicoectomyすることになった。
またその模様をお伝えしたい。