週末日曜日は、まつうら歯科医院でマイクロサージェリー(Apicoectomy)マンツーマンコースが行われた。
テーマはApicoectomyである。
何度かやっている話だが、重要どころは大して変わらない。
今回は、講義の日と実習の日を別の月に分けるという内容であった。
なので、この日は講義しか行っていない。
まず、現代のApicoectomyの成功率から講義した。
成功率はどれほどあっただろうか?
そしてその理由は何だっただろうか?
が、この表に出ているMTAセメントは今やほぼ使用しない。
その理由は何だっただろうか?
材料や道具の改良・進歩は歯内療法を簡便にさせている。
が、現状はそれでもそうもいかないようだ。
そこを乗り越えれば、未来があるだろう。
その後、術式を説明した。
以下の順だ。
まず麻酔から講義を行った。
通常のキシロカインではなく、グリーンのものを使用しないといけない理由は何だろうか?
この先生もグリーンを使用していないという。
それでは…USCだとApicoectomy中止だ。
臨床的な肌感覚だと、根尖部にグリーンライドを1本打つと出血はほぼ止まる。
以下のようにだ。
なので、
根尖部の止血のためには、術前にトータルで1本のグリーンライドを根尖部に麻酔した方がいい
と私は考える。
上記のようなケースで、#19をApicoectomyしようと思えば、
どのような麻酔をどのような手順で行うだろうか?
よく復習しましょう。
また、最近、某学会で海外の講師が、
上顎大臼歯の口蓋根はSinus liftして口蓋根を切断し、逆根管形成・逆根管充填する
という話があったらしい。
が、私はそれは物理的には無理だと考える。
理由は、以下だ。
それに精通しても、時間は無限でなくて有限だ。
あなたの歯科医院でできる治療であろうか?
現実を直視したほうがいいだろう。
以上は基本なので、熟知しましょう。
麻酔をしたら次は切開だ。
Apicoectomyの術野は患歯の2歯近心と遠心だ。
そんな広い範囲でなくて、上記の絵で言えば、#4だけフラップ開けてApicoectomyできないのか?と多くの人が思うだろう。
が、それは無理である。
それはいかなる理由だっただろうか?
Apicoectomyにミニマムインタベーションは無理なのである。
その理由を理解しましょう。
次にさまざまな切開の方法があるが、どれがベターであっただろうか?
なぜそんな切開をするのか?縫合をするのか?
歯茎が下がるじゃないか!
とかつて私が叱られた方法があるが、
文献的には、
どうだっただろうか?
そしてこの文献通りの結果になっただろうか?
ペリオでない歯は、最終的には神様が治してくれる。
そればかりやっていると、全てがそう見えてしまうのは、専門医病だ。
患者は露ほども気にしていないだろう。
神様が治してくれない症例に現れるのは、大概、VRFである。
VRFはその全てが人が検知できるものだっただろうか?
私は思う。
もっと人は謙虚になるべきだと。
わからないことはもちろんある。
いや、全てを俺は網羅できる!などとたかを括ってはいけないのだ。
うまくいかない理由は、探せば見つかるのだ!と威丈高な態度を取るのはどうだろうか?
医療人は謙虚でなければならないだろう。
それを肝に銘じるべきである。
切開すれば、次は剥離だ。
挫滅しないように剥離しなければならないが、意外に難しい。
この日、この参加者の先生(ペリオ畑の先生)から聞いた話によれば、
切開を入れて、
ペリオトームを切開の後に入れてから、
剥離する
と
綺麗に剥離できる
そうだ。
私も今度、その方法でやってみようと思う。
研修会を続ける理由は、
他の先生から臨床的なアドバイスをもらえるから
である。
それで自分がより良くなる。
であれば、患者さんが助かる。
この業界のレベルアップに繋がる話だ。
剥離すれば次は、Apex探しである。
Apexがどこにあるか?は、PAでは永遠にわからない。
が、CBCTならわかる。
歯内療法に、CBCTはマストの器具である。
CEJよりも10mm下方にApexがあるとわかる。
このApexを以下のように剖出しなければならない。
Apexの位置が分からなければ、何を持って3mm切断するか?がわからないからだ。
そしてこの際、CBCTが役立つことは見逃せない。
これは上顎洞を穿孔させるようなDangerousなケースだろうか?
それともEasyなケースだろうか?
そして、根を切断する際に何を持って3mmと判断すべきだろうか?
まさかあなたは、
何かで長さを測定しているのだろうか?
だとすれば、
あなたは暇な人だ。
そんなことをしていると、出血に苛まれるだろう。
Apicoectomyの勝敗は、する前からついているとも言える。
よく考えましょう。
そしてよく学びましょう。
さて。
3mm切断したら、次に何をするか?だが、それはきちんと3mm切断できたか?確認することである。
が、それ以前に何を持って奥行きを3mm切断すると判断するのだろうか?
それも、PAではわからない。
が、CBCTならわかる。
この歯のMB,DBと、以下の歯の切断とどちらが簡単だろうか?
上顎大臼歯MB根Apicoectomy~Easy vs Tuff の見分け方②〜#3 Apicoectomy Tuff Case
上顎大臼歯MB根Apicoectomy~Easy vs Tuff の見分け方①〜#3 Apicoectomy Easy Case
このように全ての歯は違いがある。
1つとして同じ歯はない。
そして器具の長さや大きさなどの特徴を知ることも重要だ。
よく復習しましょう。
そして、長さを確認したら、それをどのように臨床応用するか?だ。
以下のように行うことが成功の鍵である。
ここも良く復習しましょう。
切断したらその切断が適切にできているか?強拡大で確認する。
大概、切り残しがある場合が多い。
それを修正すると、Apexからの切断の長さは3mmになることが多い。
ここは、練習が必要だろう。
模型や抜去歯牙でよく練習しましょう。
切断したら、掻爬である。
掻爬はMustであっただろうか?
しかしこれはペーパーじゃないか、事実を示せ!というあなた。
以下が事実です。
掻爬は止血のために行う場合が多い。
が、全てを掻爬しなくてもコントロールが効く時代になった。
それは、ひとえに、Lid Techniqueのおかげである。
その成功率は著しく、高い。
修復治療もかつてはAmalgam形成・充填であったが、今や誰がそれを行おうとするだろうか?
それと同じである。
時代は簡単な方に流れるのである。
掻爬が終われば、メチレンブルーで染色する。
が、よく切断面が見えないことが多い。
が、これはある修正をすれば以下になる。
その修正の方法とはどんなものだろうか?
その修正には、バカ高い顕微鏡が必要だっただろうか?
事実をありのままに捉えましょう。
が、逆に言えばこうしてマイクロスコープと患者の頭の位置を修正しないといけないということは、きちんと切断できている(ゼロベベルに近い角度で切れている)という可能性が高い。
が、人間はそれでも間違いをいろいろな要因で起こすことがある。
それが生じた時に、どう修正すればよかっただろうか?
それが生じた時のポイントは何だろうか?
それは以下のグラフである。
これを読み解くことが成功への鍵だ。
そしてものの長さである。
なぜこの道具の長さがこの長さなのか?はこの文献に記載がある通りだ。
では、翻って、3.5mmの深さ逆根管形成をきちんと毎回、行える臨床家がいるだろうか?
私はほとんど見たことがない。
なぜか?と言えば、
常に新品を使用していないから
だ。
そこはケチるところではないのだ。
どこをケアすべきか?よく考えましょう。
形成できればその状況をマイクロミラーで確認し、逆根管充填である。
これは、Lid Techniqueが現代の常識になりつつある。
なぜか?
容易だからだ。
全てのものは容易な方へ流れていく。
それは避けられない。
その成功率は前述したように高い。
そして縫合して終了である。
ということで、この日の講義は終了した。
次回は、7/7(日)に実習である。
実習前に模型のCBCTの分析の仕方を説明して、実習に入る予定である。
またその模様をお伝えしたい。