紹介患者さんの治療相談。
主訴は
歯牙を保存したい。どこに行っても歯が折れていると言われる…
であった。
歯内療法学的検査(2024.12.9)
PA(2024.12.9)
CBCT(2024.12.9)
MB
ML
D
近心根に大きな病変がある。
病変はJの字に歯根を取り囲んでいる。
これは…VRFを疑わせる典型的なレントゲン像だ。
Apex-3mmの咬合面観でも歯根を取り囲むように骨欠損がある。
そして、
根管口部の大きな漏斗状拡大はVRFになっていない可能性はあるものの、将来それを引き起こさせるには十分な歯質の削除がすでに行われている。
つまりは、
治療しても長くもたない可能性を秘めている。
それでも治療を進めるかどうか?は患者さん判断だが、うちではこうしたケースをFlapを開けて破折診断すると、¥50,000がかかる。
お金をかけて破折していることを確かめて、破折していれば抜歯になる。
抜歯すれば歯槽骨も歯肉も消失する。
避けるためにはGBRだが、私はそうした材料の専門知識がない。
これが理に適った治療行為かどうかは、術者ではなく患者さんが自分の判断で意味があることなのか?決断しなければならない。
幸い、患者さんは獣医の方であったので、
それなら…抜いてImplantします!と抜歯にあっさりと同意された。
歯内療法学的診断(2024.12.9)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Chronic apical abscess
Recommended Tx: Extraction
ということで、治療は無しである。
こうした日も私の日常にはよくあることだ。
かえすがえすも、
根管口部を大きく削る根管形成は避けるべき
だろう。
なぜなら、
我々は根尖病変は治せても切削された歯根を元通りにさせることはできない
のだから。