バイト先での治療。
主訴は、
今年の1月にブリッジにしてから奥歯に違和感が続いている…そこで噛みたくない感じがする…
であった。
歯内療法学的検査(2024.3.30)
#20 Cold+5/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#18 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴は恐らくは、#18だ。
PA(2024.3.30)
左下7の根尖部に病変がある。
根管形成はほぼ未着手だ。
ということは…
再根管治療に勝算があるという話になる。
CBCT(2024.3.30)
MB
ML
D
近心根はほぼ根管形成をしていない。
遠心根は十二分になされている。
そして、病変がない。
ということは…
ターゲットは近心根
ということになる。
近心根は合流しているように見えるが、それは実際治療しなければわからない。
歯内療法学的診断(2024.3.30)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodonitis
Recommended Tx: Re-RCT
ということで、後日、再根管治療が行われた。
⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#18 Re-RCT(2024.12.17)
検査から治療まで実に9ヶ月のタイムラグがある。
なかなか私の治療の予約が取れないからだが、治療前に患者さんから
最近、歯がものすごく痛くてものが噛めない…麻酔が効くのか?
という質問があった。
これに対する私の回答は、
効かないかもしれない。
効かなければ、治療は延期でしょう。
が、麻酔したら咬合痛試験をするので、そこで痛くなければ治療を進めていきましょう。
というものである。
つまりこれが何を意味するか?あなたはわかるだろうか?
咬合痛試験を行う道具を所持していなければこの要望に応えられないのである。
私は通方通り、
伝達麻酔をし、
頬神経ブロックし、
浸潤麻酔して10分時間を置いた。
その後、咬合試験すると痛みは消えていたので、治療へと移行した。
ML, MBのGutta Perchaの上部を除去し、C+ File #10,8,6で穿通を試みるが無理であった。
機械的に穿通させようとHyFlex EDM #10.05をモーターにつけて機械的に穿通を試みようとした時だった。
?!
私の目に飛び込んできたのは
ポタージュスープ(排膿)
だったのである。
排膿がある時、あなたはどうするだろうか?
私は以下のようにする。
排膿があるということは穿通できているという意味である。
つまり、機械的に穿通を試みる作業は不要だ。
そして、長さを再度測定する。
長さが決まれば根管形成だ。
細菌が減少してくれるという最小のサイズ(HyFlex EDM #40.04)まで形成する。
それで排膿が止まらなければ、最大のサイズ(HyFlex EDM #60.02またはProTaper Gold F5)まで形成する。
それでも排膿が止まらなければ…外科治療だ。
貼薬することはない。
歯内療法の業界で、
薬理成分に期待して治癒を図るという作業は存在しないから
だ。
この業界にあるのは、
常に機械的な細菌の除去のみ
である。
メインのMLを#60.02まで形成した。
排膿が止まっていることがわかる。
つまり、このまま根管充填してもいいだろう。
MBはMLと合流している可能性が高い。
それを精査した。
MBは17.5mmの部分で傷がついていた。
つまり、
この部分の長さは(MBの作業長)17.5mmでMLと合流
である。
根充後にPA, CBCTを撮影した。
MB
ML
D
問題はないだろう。
患者さんには術後かなり痛みが出るだろうという話をした。
そのコントロールはロキソニン、それでも効かなければカロナールとの併用である。
ともあれ、次回は1年後である。
また経過をお伝えしたい。