バイト先での治療。
患者さんは30代男性。
患歯は左上の7(#15)。
主訴は咬合痛であった。
治療前の歯内療法学的検査は以下になる。
#14 Cold+3/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#15 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(+), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
PAは以下になる。
全体的に歯内療法が適切に行われていない。
ラバーダムもしたことがない。
Gutta Perchaはうっすら根管口に挿入されている。
シーラーを使用したのだろうか?というような根管充填だ。
しかも歯内療法学的検査で主訴が再現されている。
これは適切な歯内療法を行えば治癒する可能性が高い。
ということで私は再根管治療を提案した。
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Re-RCT+Core build up
患者さんは治療内容に同意し、再根管治療が行われた。(2021.7.29)
Gutta Perchaを除去して行ったが、やはりシーラーは見れなかった。
そこにあったのはシーラーではなく感染である。
Gutta Perchaを除去し、作業長を測定した。
再根管治療の内容も以下のようになった。
ポイント試適した。
根管充填、支台築造した。
治療は1回法で終了した。
患者さんは1回で終了するということに驚いていたがこれが専門医の通常運転である。
特別驚くことではないのだ。
以下、患者さんの感想。
先生、1回で終わっていただけたなんて驚きです。
本当にありがとうございました。
今まで受けていた根管治療とは何だったんでしょうか…
この歯を大事にしてこれから過ごしていきます。
ありがとうございました。
再根管治療は1回で終わることが難しいらしい。
どこが難しいのだろうか?
Gutta Perchaを取るところ?ポストコアを取るところ?再根管形成するところ?
私にとっては全てがeasyである。
もっと難しいところは別にある。
特にこの症例であれば、根管形成そのものだ。
IBFが#20~25であったMB, DBの根管形成は非常に難しいものであった。
設定したWLまでいきなりHyFlex EDM #40.04が抵抗なく届くからである。
これはこれらの根管がすでに#40.04まで削られていることを意味する。
最終的に形成できたファイルは、#50.03→Wave One Gold #45→#60.02である。
拡大は元々が#40.04が作業長まで届いているので、最初に拡大できた号数は#50である。
最終号数が#60であるので、拡大できたサイズは60-40/60=0.333333≒0.33である。
元の根管の0.33倍形成できている。
またテーパーは、
#40.04→#50.03→#45.05(Wave One Gold)→#60.02であるので一応根尖部のテーパーは5度になった。
ここまでやって最終的に治癒するのか?に関しては、時間が経たなければわからない(4年)ということは以前説明した通りである。
この患者さんにとって明るい未来が訪れることを私は祈念している。