バイト先での治療。

患者さんは20代女性。

以前治療していた患者さんで連絡が取れたのでこのバイト先で経過観察した。

右下の奥歯がすごく染みる…という理由で2018.4.6に#30をRCTしている。

なお、#31もRCTしているがその際に私はファイルを破折させてしまっている。(2018.3.13)

その時の模様が以下である。

2018.4.6

抜髄・根管治療であったため、根尖部を大きく拡大していないという記録がバイト先の治療報告書に残っていた。(M根F2, D根F2。F2とはDentsplyのファイルで#25という意味だ。)

根尖部を小さく拡大してテーパーをつけるというやり方で主訴を解決しようとしていた。

しかしそれに異論がある臨床家はいないだろう。

Gutta Perchaを試適した。

問題はないと判断し、根管充填した。

それから補綴医によりクラウンが修復されたのであろう。

しかし、私はここで脳出血を起こしてしまいこの患者さんの世話ができなくなってしまった。

が、この日このバイト先で予後が見れるようになったのである。

治療から3年半が経過していた。

2021.9.17

私の記憶の中で、抜髄・根管治療を行なって初めて根尖病変ができた症例と言っていい。

こういうことが今までなかったからだ。(もしくは見落としていた?)

ではなぜこのような状況になったのか?と言えば、やはりその当時の

小さな根尖部の拡大+テーパー形成

という考え方がまずかったのだと思う。

それを証拠に、この歯の1個後ろの#31を見てもらいたい。

この歯は近心・遠心根をF5まで形成して根管充填している。

近心根はしかもファイルが折れているが、この歯に根尖病変ができているだろうか?

できていないというところを見ると、この歯がなぜ根尖病変ができたのか?我々は推測することができる。

そう、このMimum prepがいけなかったのだろう。

ここで私は一つ学習をした。

歯質保存的な?Minimum Prepに益はないのだろう、ということを。

ということでクラウンに穴を開けてRCTをやり直した。Re-RCTである。(2021.10.1)

近心、遠心根ともに#60.02まで拡大している。その後、ProTaper GoldのF5で形成してテーパーも増やした。

Gutta Perchaを試適した。

問題がないと判断し、根管充填した。

根尖病変へシーラーがパフしている。

根尖部を大きく拡大し直した。

これで治癒しなければ外科治療へ移行する。

さあここで私は反省をしなければならないだろう。

この小さな拡大は患者さんに再治療という迷惑をかけてしまった。

今後、こうした治療を私が積極的に行なって行くことはもうないだろう。

なぜか?

#40.04というのがそんなに大きな拡大サイズだろうか?

私にはそう思えない。

しかもその次は#50.03, #60.02である。

私には大きな拡大とは思えない。

それだけに、ProTaper GoldのF5でテーパーを増大させるべく最終形成を行うことになったのだ。

これで治癒するのか?は誰にもわからない。

治癒しなければ、Apicoectomyになるだろう。

次回の3ヶ月後のRecallで再びご報告したいと思う。