50代女性の患者さん。

なんと名古屋からの患者さんである。

なぜここにきたのか?

といえば、

なんちゃって専門医ではなく米国歯内療法専門医に治療してほしい

というのが希望だったからである。

治療必要部位は#4,5,12。補綴のやりかえによる再根管治療である。

歯内療法学的検査は以下になる。

#11 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

#12 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

#13 Cold+6/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

PAは以下のように歯が長く、インジケーターを利用したのではフィルムに収まらない。

このような時は二つ対応方法がある。

①縦に撮影する

②インジケーターの咬合ピースを外してPAを撮影する

治療前であったので麻酔をしていないことから、①で対応することにした。

中途半端な根管治療の上にPFMクラウン。そして根尖病変。

これが日本の歯科医療の現状である。

そこに正義はない。

あなたが早くそのシステムに正義はないと気づかなければ、あなたは次の生贄にされるだろう。

右上臼歯部も同様に検査した。

#3 Cold+7/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

#4 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

#5 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

#6 Cold+5/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

PAを撮影した。

右上の小臼歯には根尖病変はないように思える。

ということで再根管治療の成功率はほぼ100%である。

この方の治療の鍵は左上4を穿通させられるか?である。

推奨すべき治療は以下になる。

Recommended Tx

#4 Re-RCT+Core build up

#5 Re-RCT+Core build up

#12 Re-RCT(根尖病変があるため穿通必要)+Core build up

患者さんは治療に同意したため再根管治療になったが、名古屋からきているのと#4の近心の補綴が縁下形成・装着されていることから

まず初日に

① #12 Re-RCT+Core build up

② #5 Re-RCT+Core build up

を行い、2日目に時間がかかるであろう#4のRe-RCT+Core build up を行うことになった。


1日目 午前

#12 Re-RCT(2021.12.16)

クラウンを除去しポストコアを除去し、ラバーダムをかけてRe-RCTは行われた。

クラウンを除去すると…そこにあったのは目が見える人なら何かわかるだろう。

血まみれだ。

なぜこのようなものができてしまったか?といえば、#13の近心のレジン充填がオーバーハングすぎるからだ。

何処かの開業医の仕業だと思われる。

最も適合がいいはずのPFM Crownが入っているのにこのざまだ。

補綴治療にどのような信頼性があるというのだろうか?

きちんとした人がやる処置とそうでない場合の差が激しすぎる。


話は変わって、週末の研修会でメタルポストコアを除去する実習がある。

そのための動画を撮影した。

EndoGuide BurとVP-tipを使用して外していく。

この時重要なのはEndoGuide Burを使用して歯をあまり削らないようにすることである。

ただし私の個人的な感想だと使用できるのはタービンに付けれるタイプのもののみである。

EG1A, EG3, EG4の3つしか使用に耐えれるものがない。

さてそれをどうやって使用してポストコアを外すか?であるが、下記の動画を参考にしていただきたい。

EndoGuide burは残念ながら日本に売っていない。

概ね、私がほしいものは日本にはない。

もう諦めた。

VP tipはペントロンが販売してくれる。

ただ、その地域のペントロンのディーラーに直接頼まなければ高い値段での購入を余儀なくされるだろう。

ということでポストコアを除去し、Gutta Percha Pointを除去し作業長を測定するとC+ fileで穿通ができた。

治療中の工程は以下になる。

根管充填して支台築造した。

シーラーパフは根管が密閉されていることの証左であるとUSCで教わった。

そこから私は抜け出せないでいるがピンとくる確かめ方である。

ということで初日の午前中の#12のRe-RCTは終了した。

昼休憩して次は右上4の再根管治療を行う。

その模様はまた明日以降に。