治療しても主訴が改善できないことがある。
いわゆる治療の王道を歩んだにもかかわらずうまくいかないことがあるのだ。
なぜだろう?と昔から思っていたが、最近は少し予想ができるようになってきた。
以下の論文が私の心に残っている。(なお有名論文ではない)
Arias 2014 Comparison of 2 Canal Preparation Techniques in the Induction of Microcracks/ A Pilot Study with Cadaver Mandibles.
Bahrami 2017 Detecting Dentinal Microcracks Using Different Preparation Techniques/ An In Situ Study with Cadaver Mandibles.
両方ともカダバーで根管形成して歯根が破折しやすいファイルを探そうという試みを行ったものである。
Arias 2014年から解説すると以下になる。
M&M
Three lower incisors from each of 6 adult human cadaver skulls were randomly distributed into 3 groups: the control group (CG, no instrumentation), the GT group (GT Profile hand files; Dentsply Tulsa Dental, Tulsa, OK), and the WO group (WaveOne; Dentsply Tulsa Dental). In the GT group, manual shaping in a crown- down sequence with GT Profile hand files was performed. In the WO group, Primary WaveOne files were used to the working length. Teeth were separated from the mandibles by careful removal of soft tissue and bone under magnification. Roots were sectioned horizontally at 3, 6, and 9 mm from the apex using a low-speed saw. Color photographs at 2 magnifications (25 and 40) were obtained. Three blinded examiners registered the presence of microcracks (yes/no), extension (incomplete/complete), direction (buccolingual/mesiodistal), and location. Data were analyzed with chi-square tests at P < .05.
カダバーの下顎前歯を形成に利用するファイルに従って3つのグループに分けている。WaveOneとGT Profile hand filesと形成も何もしないグループの3つに分けている。
GT Profileグループはクラウンダウンで形成している。WaveOneグループは#25のWaveOneを使用して根管形成している。
その後歯根をApexから3,6,9mmで切断し、拡大視野下で写真を撮影し、マイクロクラックの有無と破折のあり方とその方向をチェックしている。
さて、WaveOneは歯根破折を引き起こすダメな?ファイルだろうか??
結果は以下である。
Results
Micro-cracks were found in 50% (CG and GT) and 66% (WO) of teeth at 3 mm, 16.6% (CG) and 33.3% (GT and WO) at 6mm, and 16.6% in all 3 groups at 9mm from the apex. There were no significant differences in the incidence of microcracks between all groups at 3 (P = .8), 6 (P = .8), or 9 mm (P = 1). All microcracks were incomplete, started at the pulpal wall, and had a buccolingual direction.
形成をしていない歯根の先端も破折していた。
では、この続きとなるBahrami 2017ではどうだろうか?
この研究ではTRUShape (TS; Dentsply Si- rona, York, PA), WaveOne Gold (WO, Dentsply Sirona), or K-files (KF) compared とuninstrumented control group (CG).の4つを比較している。
詳細は上記のArias 2014の研究の通りである。
ここでも削っていないものがもっとも破折していた。
この一連の研究、私の臨床でも適切に行ったはずの歯内療法が思った結果になっておらず外科治療に移行すると根尖部の破折を目にすることが多いことから、ここに
”よくわからない問題(出来事)の答え”
がある気がする。
何故か根尖部が破折する。
そしてそこに感染が起きる。
そして治癒しているはずが治癒しないという出来事に遭遇する。
そして願わくば、
”どのような事象が起きれば(あれば)、このような問題が可能性として考えられるようになるか?”
傾向がわかればいいのだが…
難しいのが実情である。。。