紹介患者さんの治療。
主訴は
他院で治療してから右下奥歯の腫れが治らない…
であった。
歯内療法学的検査(2023.7.27)
#30 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#31 Cold+2/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴は再現されている。
適切な治療を行えば主訴が改善する可能性が高い。
PA(2023.7.27)
さてこの2枚のPAから何がわかるか?と言えば、
穿孔(ストリッピングパーフォレーション)が原因で腫脹は起きているに違いないと言う事実である。
なぜこのようなことが起きるのか?と言えば、
回転切削器具でコロナルフレア形成をしているから
に違いない。
ものの大きさを知っているだろうか?
この2つの器具をめぐる歯科医院の日常が手に取るように私にはわかる。
①器具をしようとするものの、曲がっているため削れない。
②新品をもってこいと告げる
③コロナルフレア形成時に破折する
これらの器具の使用方法をあなたは知っているだろうか?
知らなければ、
Basic Courseへの出席を強く勧める。
またこの2枚のPAからどこが穿孔しているかわかっただろうか?
以下のPAは偏近心で撮影したものだ。
すると、この部分に穿孔が疑われる。
この根管はMBか?MLか?さてどっちだろうか?
今日はその読解方法を公開しよう。
Buccal Object Rule
である。
以下の図で解説しよう。
まず正方線のみで撮影すると何が起きるだろうか?
と言えば、
頬側と口蓋側の物体は重なって撮影される。
したがって、
上図のように頬側が⚪︎、舌側が△と撮影前から分かっていても絵が重なるとどちらがどちらか?わからなくなる。
このような時に、偏心撮影は便利である。
偏近心で撮影してみよう。
偏近心とは、近心から煽ってPAを撮影する行為のことである。
この時、頬側の⚪︎はどこに投射されるだろうか?と言えば、より遠心に投影されることがわかるだろう。
そう。ここから重要なことがわかる。
頬側にあるものは、偏心撮影されると遠心に投影されるのだ。
したがって、以下のようにPAでは撮影されるはずだ。
しかし、患者さんの中にはフィルムを奥に入れると
オウェ!と嘔吐反射が出る人がいる。
そういう場合はどうしたらいいか?と言えば、
偏遠心で撮影すればいい。
すると、嘔吐反射は抑制される。
また、麻酔をするとオゥェ!は無くなるだろう。
その意味でも、
伝達麻酔は歯内療法では避けられない麻酔のテクニック
であることがわかる。
そう。
下顎の方が上顎よりも麻酔も、治療も、患者コントロールも容易である
のだ。
では、上記のPAに戻ってみよう。
さて、穿孔している根管はどこでしょう?
もうわかりますよね?
わからない人は、来年のIntroduction Course 2024でお待ちしています。