半年前の治療の経過観察。

以下の記事が半年前である。

自分が米国で学んだことを臨床にフィードバックした歯科医療〜#19 Re-RCT 1回法

ここから半年経過している。

あの患者さんの病変はどうなっただろうか?

術前の見込みとしては、

#19 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(+), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

から、外科の可能性があることを示唆していた。

PAは以下である。

CBCTも以下である。

MB

ML

D

治療計画は、

ラバーダムなんて見たことも使用されたこともない

(比較的直線的であることが多い)ML根の根管形成を前医が行っていなかった

外科治療前に再根管治療を行うことで失敗した時の選択肢を外科だけにする

という点で再根管治療にした

が、

もしもML根が石灰化して尖通しない場合は、支台築造だけして別日に外科治療に切り替える

と言う治療方針で再根管治療が行われた。

再治療によりわかったこととしては、

MLにはGutta Perchaではなく、汚れが充填されていたこと

MLにMBが合流していたこと

の2点である。

また、拡大号数はC+10で穿通し、#50.03まで形成しているので、

400倍根尖部の根管を拡大形成していることになる。

(何を言っているのか?意味がわからない人は学習が足りません。Basic Courseの受講を強く勧めます。)

が、

細菌には感染力や毒性があり、人間には免疫力がある。

これは個人個人により差があり、全ての人が平等ではない。

ということから、だから治癒するとは100%言えない。

しかし、60~90%は治癒していく方向に流れるのである。

さあ、あれから半年。

この患者さんはどうなっただろうか?

経過観察が行われた。

#19 Re-RCT 6M recall(2023.8.8)

口腔内を検査した。

術前にあった全ての臨床症状及び、Sinus tractは消失していた。

患者さんは治療してから症状が消えて楽になったと言われていた。

患者さんの免疫力が細菌を抑え込んでいると言える。

PAを撮影した。

術前と比べると変化が出ていた。

近心根尖部の病変はかなり小さくなってきているだろうと思われる。

CBCTも撮影した。

MB

ML

D

術前と術後半年を比較した。

根尖病変自体の大きさはそれほど変化がないかもしれないが、

患者さんには臨床症状がない

Sinus tractも消失

近心の3次元像から頬側の皮質骨が再生している

ことなどから、AAEの定義の“Healing”に該当すると思われる。

次回はさらに半年後の2024.2にRecallを予定している。

またその模様は皆さんにお伝えいたします。