バイト先での治療。
主訴は
左下奥歯、銀歯が取れた。他院では抜歯と言われたが、歯を残したい
であった。
歯内療法学的検査(2023.8.22)
#18 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#19 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
検査をすると患歯である#18には打診痛、咬合痛が見られた。
ちなみに、口腔内は以下のようである。
クラウンが外れて仮封がなされている。
この内部に何かがあるのかもしれない。
PA(2023.8.22)
#18の根尖部には病変ができている。
これが咬合痛の原因かもしれない。
CBCT(2023.8.22)
頬側から見ると近心根、遠心根双方に根尖病変があるように見える。
M
近心根は1根管か?2根管のようにも見えるが…
これは実態内部を直接見ないとわからない。
D
遠心根には病変がない。
であれば、ここは再度Gutta Percha Pointを除去して形成し直す必要性はないだろうとも思われる。
このように、CBCTはただ撮影するだけではダメだ。
人に見せれる状態にしないといけない。
CBCTには分析方法がある。が、それを誰も教えてくれなかった。日本では、だ。
私がこの方法を教わったのはUSCでだ。
Dr.SchechterがFaculty Roomを真っ暗にいつもして、私に教えてくれた。
慣れてくると、“Akira, CBCTをセットアップしとけよ”、とよく言われたものだ。
そしてその方法は…日本のいかなる教科書に記載すらされていない。
ここにも日米の歯内療法の?臨床差が良く現れているだろう。
歯内療法学的診断(2023.8.22)
Pulp Dx: Previously initiated therapy
Periapical Dx:Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Re-RCT
ということで再根管治療へ移行した。
☆この後、臨床動画が出てきます。気分を害する方は視聴をSkipしてください。
#18 Re-RCT(2023.8.22)
M根の穿通を試みたが…IBF(Initial Binding File, 本当はBindingなどしていないが歴史的にそう呼ぶ)はK File #25であった。
根管形成は、#25.V(でテーパーをつける)→#40.04→#60.02まで行った。
根管をヒポクロで洗浄し、術後疼痛を配慮するため根管ないにヒポクロを満たしてPatency Fileを行い、EDTAで洗浄し1分時間を置いて、その間に#35.04のGutta Percha Pointをヒポクロで1分間消毒し、ヒポクロで根管を最終洗浄し、滅菌ペーパーポイントで根管内部を乾燥させて、BC sealerを根管に挿入し、#35.04のGutta Percha Pointで根管充填した。
この際よくある質問が、
MAFが#60.02なのになぜ、#35.04のGutta Percha Pointを使用するのか?というものである。
その考え方がわからないあなたはまだまだ学習が足りているとは言えないだろう。
Basic Courseでお待ちしています。
さておき、以下のように根管形成した。
ということで根管充填を行った。
以下がそのPAである。
近心根からはシーラーパフが見られた。
緊密な根管充填ができた証左だ。
それが起きても問題がないことは上記のCBCT像で明らかだろう。
ということで30分程度で再根管治療は終了した。
次回は半年後である。
またその際の状況を皆さんにご報告したい。