週末日曜日はAdvanced Course 2023 第4回が行われた。

この日のテーマは、

①Live ope(#19 Apicoectomy M,D)
②CaseのDiscussion
③Intentional Replantation実習
④Autotransplantation

である。

まずLive Ope症例の詳細を説明した。

2023.9.20に初診で来られた患者さんである。

以下がその詳細である。

主訴は、

何もしていなくても左下の奥歯が痛い…

である。

歯内療法学的検査(2023.9.20)

#18 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#19 Cold N/A, Perc.(++), Palp.(++), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

#20 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)


⭐︎検査動画が出てきます。不快に感じる方は視聴をSkipしてください。



#19~20にかけて歯肉の腫脹がみられた。

この状況では…麻酔が効かない。

①ステロイド系の抗炎症薬の投与(保険適用外)か、

②麻薬系鎮痛剤の投与か、

③嵐が通り過ぎるのを待つ

かのいずれかだ。

が、麻薬系鎮痛剤の投与はアメリカは歯科医師でもできるが、日本では厳しく制限されているし、投与すれば漏れなく公安からマークされることだろう。

また私はそのような薬剤をそもそも処方しようという気もない。

ということで、結局③しかない状況だ。

これは非常に頭が痛い現状だ。

PAを撮影した。

PA(2023.9.20)

既に大きく根管形成されている。

この状況で、再根管治療は何の効果もないことがわかる。

ということは…MもDもApicoectomy一択だ。

2根同時の外科治療になる。

CBCT(2023.9.20)

B

#19の根尖部に大きな根尖病変がある。

かつての治療は患者さん曰く、

ラバーダムなしの、

SS Hand Fileでの某・大学病院での治療

だったそうだ。

その病院歯科には数ヶ月通院したそうだ。

どこの大学か?は、もちろん言わないが、

低レベルの根管治療+補綴治療である

という事実は曲げようがない。

もはや日米の歯内療法のレベルの差はメジャーリーグと公園での子供のプラスチックボールでの野球遊び以上の差があると言っておこう。

それぞれの歯根を精査しよう。

M根

CEJよりも11mmにApexがある。

そのとき、皮質骨を1mm削るとM根のApexに到達する。

その際、Apexは頬舌的に

6mm切断しなければならない。

そして、

MBとMLには一定の距離がある。

Retroprepにはやや時間がかかることがわかる。

難易度は中だ。

D根

D根のApexはCEJよりも11mm下部にある。

皮質骨を約2.5mm削合するとApexが発見できる。

その際、頬舌的に 6mm削ればD根のApexを切断することができる。

そしてこのD根は1根管である。

ということは、MとDどちらを優先的に先にApicoectomyするか?といえば、

私ならD根→M根だろう。

なるべく外科治療時間を短縮して時間がかかりそうなM根に集中したいという思いからだ。

もちろんその反対の意見もあると思うが、私はそう考えた。

診断は以下になる。

歯内療法学的診断(2023.9.20)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Apicoectomy→Core build up with Fiber post

ということで、このセミナーの日に外科治療へ移行した。


⭐︎詳細は後日、Blogに掲載したいします。


#19 Apicoectomy M,D(2023.9.24)

PAを撮影した。

この治療は私にとっては不本意極まりない。

外科治療が…というよりはその順序だ。

外科治療して、その後築造したときに歯質が過小であれば、またVRFがあれば…そもそもなぜこの歯を残したのだ?という話になるからだ。

ではなぜ残したのか?といえばこの歯を治療していく方法が外科治療しかなかったからである。

詳細は後日紹介しよう。

その後、縫合して終了した。

次回は1週間後に抜糸である。

その模様を報告するときにこの症例の詳細を公開しよう。

その後、本症例に対するDiscussionを受講生と行なった。

質問としては、

切断後、切断面が見えたのはベベルがついていたのではないか?

Osteotomyの方法について

逆根管形成の量

マイクロスコープの倍率とRoot resection, Retroprepとの関連性

などであった。

さて。

どのようにあなたは答えるだろうか?

この質問よりもレベルが上の質問ならいいが、そうでもない質問をしているあなたはこのレベルよりも下の歯科医師であるということである。

それであなたがいいのであれば、私は何も言わないが、どうだろうか?

知識に蓋はできないのである。

焦ったあなたには、Advanced Course 2024の受講を強く勧めておこう。

ということで午前中が終わり、午後から別の話になる。


実習時間を長く取りたいので、まず先に座学からお話しした。

Autotransplanttaion(自家歯牙移植)である。

USC時代に最も信頼をFacultyが置いていた教科書は、AndreasenとTsukiboshiの以下の教科書である。

Intentional Replantationの度に、Dr.Schechterにこの教科書を読めと言われていたのを今も思い出す。

いい教科書だ。

彼は、

Dr.TsukiboshiはGPなのにとんでもない治療をしている!と絶賛していた。

私はこの方とお会いしたことはないが、機会があればいつか話を聞いてみたいと思っている先生のうちの一人だ。

もうそういう感情をこの業界に抱くことが無くなっただけに、ある意味かなり関心がある。

福岡に来てくれれば間違いなく行くだろうw

東京は遠いので、勘弁してください(涙)。。。

歯内療法科大学院生がやる治療は意図的再植だが、自家歯牙移植も同じようなものだから非常に参考になった教科書だ。

この日は、以下の項目に関して説明した。

本治療の成功率と生存率を文献に基づき、解説した。

次に実際のCaseに基づき、この治療を解説して行った。

これ以降は、以前のBlog記事の通りである。

“天然歯”は”再獲得”できるのか?#17→#18 自家歯牙移植から1年経過

さて。

本治療の欠点は何だろうか?と言えば、

Implantと何が違うのか?

という一点に尽きる。

フィクスチャーと天然歯の違いだけで、あとは何も変わらない。

そうした外科治療が得意な方にはいいかもしれないが、

移植の位置によっては補綴に問題が起きることがあるだろう。

エンドは補綴に責任は持てない以上、私がやる治療ではないと確信している。

誰かに任せるべき医療だ。

その意味でも、私にはできない治療である。

なので、この以前のブログにも口腔外科医に依頼した、とあるのはそういう意味である。

また、抜歯と同時に移植は適応症なら行うという意見も真っ当な意見である。

確かに…GBRすれば大量に掘らないといけなくなる。

それなら…抜歯時が早いかもしれない。

また、Implnatの方がドリリングの細さが少ないので楽だという意見もあった。

どれも真っ当な意見である。

私、というかうちの歯科医院で今後この手の治療を行う場合は今日のセミナーであった質問事項をまとめて説明しようと思う。

やはり、

人から学ぶことは多い

と言える。


最後に、Intentional Replantationの実習を行なった。

実際の模型を抜歯していただき、口腔外で作業をしていただいた。

この実習のポイントは、

強拡大で作業することの難しさ

を体感して欲しかったという一点に尽きる。

強拡大で作業すると、平行に切断しているつもりがそうもいかない(ベベルがかなりつく)ということがわかっただろうか?

マイクロスコープをうまく使用することがこの治療を極める鍵になると言える。

私も、USC時代に外科治療前にDr.Schechterに集められて同級生とやらされたことは、この日の実習そのものである。

その時は、誰も合格しなかったというこの実習の難しさを理解していただけただろうか?

ということでこの日の実習と講義は終了した。

次回は、

10/22(日) マイクロサージェリー実習(前歯・小臼歯・大臼歯のApicoectomy実習)

を行います。

またよろしくお願いいたします。