患者は40代男性。
主訴は他院で根管治療の道具を折られたから取って欲しい、というもの。
痛みなどは全くない。
歯内療法学的検査を行なった。
#29 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#30 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#31 Cold+6/8, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
PA
ML根にファイルの破折が確認できる。
さて、この破折ファイルは除去が必要だろうか?
この手の話になると思い出すことがある。
私の友達が米国留学している時、その大学院に日本の著名な歯内療法専門医が講義にきたそうだ。
そしてどうやってファイルを除去するか?について熱く語っていたという。
そうしたらその彼の同級生から質問が飛んだ。
「どうしてあなたは全ての症例で破折ファイルを取り除こうと熱心なのか?症例によっては全くその必要性を感じないし、取り除くのであれば外科治療の方が早いと思うけど」
その講師は
“こいつらとはやってられないよ”ポーズをしてこいつらわかってねえなあ!というリアクションをしたらしい。
しかし言わずもがな、わかってないのはこの日本人講師だ。
ということで、どういう場合は除去の必要性があり、どういう場合は除去の必要性がないのか?についてはいつだったか以前にお示しした通りである。
あなたがちんどん屋になりたければ、どうぞ除去してください。
しかし、この症例に関してはそもそもその必要性がない。
なぜか?
根尖病変がないからだ。
私は患者さんに根尖病変がないので、ファイルを除去する必要性はない、除去できなくてもその再根管治療の成功率は100%近い、どうしても取りたいなら、また痛みが治療後に出て取らなければならなくなったら、外科治療で取り除くというお話をさせていただき患者さんは納得した。
ということで再根管治療が行われた。
さて、再治療を行なったが実はどこも穿通しなかった。
それでいいのか?という理由はこのブログを見てきた人ならなぜだか?もうわかるだろう。
ということでまたしても昨日と同様にヨシダからいただいたMTAシーラーを用いて根管充填しCore build upした。
ヨシダのMTAシーラーはαを当てても、なかなか根管からなくならない。
BCシーラーなどは熱ですぐになくなるのだが、このシーラーにはそういう感じがなかった。
ということで治療は終了した。
このデンタルはもちろん患者さんに見せた。折れた器具は取る必要がないという話をしていたので拍子抜け?していたようだ。しかし、それが不変の事実である。
ということで今日は何ということもない、再根管治療を行なった1日であった。