バイト先での治療。
患者さんは60代男性。
全顎的治療で右下7は保存になり再根管治療が必要だとバイト先の院長に言われ治療となった。
患者の主訴はない。
が、閉所恐怖症でお顔のタオルはNG。(ゴーグルは大丈夫とのこと)
歯内療法学的検査は以下になる。
#29 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#31 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
PAは以下になる。
おそらく右下6は抜歯されているのだろう。
この歯科医院でCBCTを撮影した。
CBCT上では根尖病変が見えた。
穿通が必要な症例である。
ただし、下歯槽神経は7番よりかなり根尖側にありシーラーなどが逸出して問題が出ることはなさそうだった。
ただしある程度、歯内療法を行なっているので成功率はそれほど高いとは言えないだろう。
60~70%と言ったところだ。
(CBCT画像はいただき忘れてしまった。すいません。)
歯内療法学的診断は以下になった。
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Re-RCT
ラバーダムを装着して歯内療法を受けたことがないという。
この歯科医院にきて初めてそのようなものを知ったそうだ。
2008年4月の保険制度改正より根管治療におけるラバーダムの保険請求点数は包括され、実質ラバーダム防湿の保険点数(10点)は廃止された。
しかし、ラバーダムが保険診療から無くなった時、歯科医師側は国に何も言わなかった。
なぜ廃止されたか?
一説によれば、ラバーダムを歯科医師が業者から購入した金額よりも、歯科医師が保険請求した保険点数の方が多かったからだという。
つまり、ラバーダムなんてしていないのにしていたことにしていたのだ。
不正請求だ。
そして気づけば、歯科は現在のような環境に置かれている。
その他の点数を久々に見てみた。
この治療を保険診療でもしやることになれば、
初診料・・・251
再根管治療・・・438
根管長測定・・・30+15
加圧加算・・・164
支台築造(その他)・・・159
合計・・・1057(¥10,570)
で、3割負担だと¥3,171である。
安い。
そんな値段で歯科医療できるのか?いやできないだろう。
USCの歯学部生が日本はクレージーだと言っていた本質がここにある。
こんなひどい状況で歯科医療などできないだろう。
こうして多くの歯科医師たちはこの制度から離れたいと思うが、離れることができないでいる。
とその話は置いておいて治療に戻る。
作業長などは以下になった。
歯質は頬舌・近遠心面すべて歯牙が保存されていたため、ファイバーポストを使用せずにレジンで支台築造している。
最終的なPAは以下になる。
ということで1回で再治療は終了した。
次回は半年後である。
患者さんは治療が1回で終了したこと、時間がほとんどかからなかったことにびっくりしていた。
しかし、
それが米国歯内療法専門医による、歯内療法である。
患者さんにはこのブログに載せていいかを確認し、了承をいただいた。
このように閉所恐怖症という問題があっても、何の問題もなく歯内療法を行うことができる。
困っている方は是非、米国歯内療法専門医が在中する歯科医院にかかられることをお勧めします。