紹介患者さんの経過観察。
主訴は、
右上奥歯の神経を取る治療をした後、被せ物をすると痛みが出て通っていた歯科医院では治せないと言われた…
であった。
歯内療法学的検査(2023.9.27)
#2 Cold N/A, Perc.(++), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#3 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#2が患歯のようである。
PA, CBCTを撮影した。
PA(2023.9.27)
#2の根尖部に大きな骨欠損がある。
根管形成は既にされ尽くした?感はあるが、
実際にやってみなければわからない
という言葉の意味があなたにはわかるだろうか?
CBCTも撮影した。
CBCT(2023.9.27)
MB
MB2が未着手である。
が、それをやり直せば治癒するか?は謎だ。
Apical Foramenから突き出たGutta Perchaは上顎洞底に突き刺さっている。
ファイルが上顎洞底に出たんだろう。
しかし…
治療中は激痛だったそうだ。
なんせ、無麻酔だったのだそうだから。
で、痛い!と担当医(当時。紹介先ではない。)にいうと、
痛いわけないでしょ!神経取ったんだから!!と叱られる。
いつものこの患者体験談がまだ横行しているこの日本国は、先進国か?
と疑わざるを得ないだろう。
DB
DBもMBと同様の内容である。
根尖病変にGutta Percha?かシーラー?が上顎洞底内に溢出している。
が、それで問題が出ているだろうか?
文献的にはどうだっただろうか?
これは、
Basic Course 2024
で扱う内容だ。
P
Pは全く根管形成しているように見えない。
そして根尖病変。
以上のCBCTの考察より、外科治療ではなく、再根管治療が適応症であると考えられる。
歯内療法学的診断(2023.9.27)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx:Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Re-RCT
ということで同日、再根管治療へ移行した。
⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#2 Re-RCT(2023.9.27)
再根管治療に意味があるか?はIBFと再根管形成で決まる。
DBはK File #20で穿通している。
その後の、HyFlex EDM #25.Vで形成しようとするとスカスカであった。
この根管形成を見た時に、あなたはどう感じるだろうか?
私には、
必要十分な根管再形成ができているとは思えない。
このファーストタッチからして、MAFが#40.04でなく、#60.02になると判断させてくれる。
BC sealerとGutta Perchaで根管充填した。
ここから半年が経過した。
#2 Re-RCT 6M recall(2024.4.9)
術前の打診痛は消失した。
PA, CBCTを撮影した。
MB
DB
P
初診時と比較した。
初診時(2023.9.27)vs 6M(2024.4.9)
MB,DB,Pの根尖病変は劇的に改善した。はみ出たGutta Perchaを除去していないのに、だ。
この秘密は、Basic Course 2024で扱う内容だ。
それよりも、なぜここまで劇的に改善したのだろうか?
その理由をあなたはわかるだろうか?
そこがわからなければ…歯科医師として悲しいことはないだろう。
ということで、かかりつけ医に最終補綴を依頼した。
次回はさらに半年後の2024.10である。
また状況をお伝えしたい。