紹介患者さんの治療。

主訴は、

MTAを使用して神経を保護する治療をしたのに歯が痛い…

であった。

歯内療法学的検査(2024.10.16)

#3  Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#4 Cold++1/13, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#5 Cold++1/22, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#6 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

主訴は強い打診痛と冷水痛がある#4,5だろう。

PA(2024.10.16)

#4,5には歯髄に近接する充填がなされている。

そしてその直下にはMTAだ。

もう何度も述べるが、

MTAに歯髄の炎症を鎮める効果はない。

あるのは、外科治療時に最も封鎖性が高いという事実だけである。

詳しくは、

Basic Course 2025

で説明します。

CBCT(2024.10.16)

#4

機能咬頭の口蓋側の根管の方が直線型だ。

CBCTがあれば、解剖学的特徴を術前に把握できる。

根尖病変もあり、上顎洞へ抜けている。

要加療だ。

#5

#5にも歯髄に近接する修復物がある。

が、この歯には根尖病変は見ない。

が、この状態が継続すれば石灰化が起きてApicoectomyだ。

Apicoectomyが簡単にできるだろうか?

といえば、切断時に上顎洞を穿孔させるリスクがある。

が、以前も述べたようにImplant時に上顎洞を穿孔させた文献では、

Pikos 1999  Maxillary sinus membrane repair: Report of a technique for large perforation

上顎洞を10mm以上穴を開けないと大ごとにはならない。

10mmとはじゃあ何か?といえば、

ゼックリヤバーの歯の部分の長さが11mmであるのであれくらいの大きな穴を開けない限り問題にならない。

Apicoectomyでそんなに大きな穴を開けることは100%ない、と言えるので問題はないこともわかる。

が、患者さんは外科治療です、と言われて両手を上げてそれを受け入れる人は皆無である。

そうならないようにするのが専門家の仕事だ。

患者さんは、#4,5の加療を希望されたので別日に、治療へ移行した。

歯内療法学的診断(2024.10.16)

Pulp Dx: Symptomatic irreversible pulpitis

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: RCT

⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#4,5 RCT(2024.11.27)

#4

#5

かかりつけ医にはプロビジョナルレストレーションの装着を依頼した。

次回は1年後である。

また状況を報告したい。