バイト先での治療。
主訴は
治療した部分で硬いものを噛むと痛い…
であった。
歯内療法学的検査(2024.7.17)
#18 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#19 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#19はCold testに反応がない。そして打診痛と咬合痛。
この歯が問題だろう。
PA(2024.7.17)
断髄した歯が#19だ。
この歯が患歯のようである。
CBCT(2024.7.17)
MB
ML
近心根は1根管なのだろうか?
判然としない。
D
遠心根管も判然としない。
が、
この絵から、近遠心は1根管ずつなのかもしれない。
が、Previously initiated therapyのCaseだ。
何があるかは?実際にしないとわからない。
歯内療法学的診断(2024.7.16)
Pulp Dx: Previously initiated therapy
Periapical Dx: Chronic apical abscess
Recommended Tx: RCT
別日に治療が行われた。
⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#19 RCT(2024.12.17)
さて、この方はなんと顎が痛くて口がほぼ開かないという。
途中で顎がプルプル震え出した。
治療開始5分でこの状態だ。
が、患者さんが悪いわけではない。開かないものは開かないのだ。
こうした場合の対応方法は以下だ。
①バイトブロックを嵌めさせて無理やり開咬させる
②治療時、必要な時だけ開口してもらい、あとは閉じさせる
①は術者にとっては理想的だが、患者にとっては恐怖だ。
顎が外れる危険性があるからである。
顎が外れれば、戻さないといけなくなる。それは、術者にとっても大変だろう。
私は、今まで治療した・された経験から、①を臨床で採用することはほぼない。
常に、②だ。
では、
“必要な時”
とは何か?と言えば、
①チャンバーオープンする時、
②作業長測定する時、
③根管形成する時、
④根管充填する時、
⑤支台築造する時、
の5点である。
Caseにもよるが最も時間がかかる作業はこの中で②だろう。
が、常に開咬器で最大開咬が必要か?といえば、そんなことはない。
また、③は機材の進歩でほぼ時間がかからなくなった。機材が勝手に所定のサイズまで根管にボックスを作ってくれるのだから。しかもその機材がこれでもか!と湾曲する。このことは治療をやりやすくさせている。
④もそうだ。かつては複雑な根管充填が流行っていた?が、もはやそうした方法はない。
MTAシーラーを根管に入れて形成に “ほぼ合致した” Gutta Perchaを選択するだけである。
それを格好つけた名前で称する人もいるが、
単なるSingle Point根充である。
まあアメリカはずっと、Single Point根充だけども。
つまり以上のことから、
歯内療法は常に口を最大開口させる必要がなくなったのだ。
が、欠点もある。
それは、治療が快適すぎて患者さんが寝てしまうということである。
この際もそうだった。
そんな時は、私は患者さんに声をかけて、開口器入れますか?とお尋ねする。
すると患者さんは頑張って起きてくれることが多い。
まあ何を言っているんだ?という話だが、意外に重要なことだ。
以上のような工程で治療を行った。
Dは#40.04までPrepしている。記載ミスだろう。
治療成果が出るには1年かかる。
しかし…
ここまで強いアートファクトが術前に出ているとは…
CBCTの“精度”には毎回驚かされる。
次回は1年後にその経過をお伝えしたい。