バイト先での治療。

患者さんは30代女性。

主訴は

補綴のやり換えのための再根管治療を希望

であった。

歯内療法学的検査は以下になる。

#6 Cold+2/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

#7 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

#8 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

PAは以下になる。

偏心撮影で若干、コーンカットしてしまった。

それはさておき、このPAからどのような特徴がこの再根管治療に導けるだろうか?

といえば、まずこのポストコアを外すのは難しい、という事実である。

以前もこの話はしていると思うが、

パラレルな長いポストは実に外しにくい。

以下の論文がその根拠である。

長いポスト⇨Sorensen 1984

パラレルなポスト>テーパー型ポスト⇨Standlee 1978

ということで除去に時間がかかることが予想された。

案の定、除去には時間を要した。

が、VP-Tipがあれば結局そこを乗り越えることができる。

非常に便利な道具である。

歯質が残存したのでそのまま前歯部クランプをかけて再根管治療を行なった。

治療の流れは以下のようであった。

  1. Gutta Percha Point除去
  2. C+ File #10⇨#8⇨#6で穿通を試みる
  3. 穿通しなかったので、HyFlex EDM #10.05を高速回転+低トルクで使用し機械的な形成で穿通に成功する(750rpm, 0.6N)
  4. EMRで作業長などを測定

C+ Fileでは穿通しなかったので、3の方法で機械的に穿通をすることができた。

しかしこの模様を動画にすることができない…

何とかしたいがやはり実習で直接教えるしかないのだろう。

作業長などは以下になった。

ポイント試適した。

問題ないと判断し、BC sealerを用いて根管充填した。

なお、この症例に関してはレジンで築造することがわかっているので、あえて骨レベルの下までGutta Percha Pointを切断している。

それをバーで削ったりするとGutta Percha Pointは抜けてしまう。

シングルポイント根充なのでなおさらである。

このような時に有効な方法は何だろうか?といえば、熱でGutta Percha Pointを除去することのみである。

Haddix 1990 Post preparation techniques and their effect on the apical seal

Heated Plugger, GPX, Gates-Glidden DrilでGutta Percha Pointを除去していく。

その際、最もリーケージが少なかったのは…

Heated Pluggerだった。

バイト先で以前、補綴が得意な院長が私が根充した歯のポスト形成をGates-Glidden Drilleで行なってGutta Percha Pointが全て抜けてきたことがある。

あの時はあの先生はこの論文を知らなかったのだろう。

が、この論文はJOEではない。

J Prosthet Dent 1990 Nov;64(5):515-9. だ。

補綴の論文である。

なので本来、私が知るべきことではないのだが。

ともあれ、Gutta Percha Pointの除去にはαのような熱でGutta Percha Pointを溶かすものでないとリーケージが起きるのである。

これは知っておくべき知識だろう。

ということで根管充填してファイバーポストを使用して支台築造した。

PAは以下になる。

シーラーパフが根管が密閉されていることを示している。

最後にプロビジョナルレストレーションを戻して終了した。

1回で終了している。

治療時間は1時間程度であった。

次回は半年後の来年5月にRecall予定である。

その際にまたご報告できればと思う。