患者さんは30代女性。

主訴は前歯部を補綴し直したいので再根管治療をしたい、というもの。

歯内療法学的検査は以下のようになった。

#7 Perc.(-), Palp.(-), Bite(-), Perio pocket(WNL), Mobility(WNL)

#8 Perc.(-), Palp.(-), Bite(-), Perio pocket(WNL), Mobility(WNL)

#9 Perc.(-), Palp.(-), Bite(-), Perio pocket(WNL), Mobility(WNL)

#10 Perc.(-), Palp.(-), Bite(-), Perio pocket(WNL), Mobility(WNL)

歯内療法学的診断は以下のようになる。

#7 Pulp Dx: Previously Treated, Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis

#8 Pulp Dx: Previously Treated, Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis

#9 Pulp Dx: Previously Treated, Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis

#10 Pulp Dx: Previously Treated, Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis

推奨される治療は以下のようになる。

#7=#8=#9=#10 Re-RCT

患者さんが治療に同意したため治療となった。1日で治療し全て終わる予定で行なったのだが…

根管形成がほとんどなされていないことから、再根管治療を提案し取り掛かった。

が、このポストコアがなんとクラウンとつながっており、しかも分割ポストという治療者泣かせのものであったため半日で終わるはずが1日かかってしまった。

そしてこの治療から3ヶ月後、患者から歯茎が腫れたと連絡があった。

#10(左上2)にsinus tractができている。

この時点で私は患者さんにApicoectomyを提案したが外科はいやだからもう少し様子を見たいと言われ、頭の中では変わるわけないだろう…と思っていたが渋々了承した。

すると私の想定を超える出来事が起きた。

#10にできたSinus tractがいつの間にか消失したのだ。

患者の免疫力>>>細菌の感染力

ということだったのだろう。

ここで自分の中にあった常識=Sinus tractは出現しても消えないという常識が打ち破られたのだ。

そしてこれに似た状況が外科的歯内療法後でも生じたことがあった。

学術的にどうしてこういう現象が起きるのか?私は無学なのでわからないが常識を超える現象が生じることもあるのである。

最終的に補綴専門医により修復治療がなされた。

もちろん、Sinus tractはない。

しかも根尖病変も治癒しているように感じる。

しかしながらこれは私が倒れる前のPAであるのでこの方が今どうなったか?はわからない。

このHPを見ていたら是非連絡を願いたい患者さんである。