バイト先での治療。
主訴は
#30にImplantを埋入する予定であるが、#29に根尖病変があるのでそこの治療をしたい
であった。
歯内療法学的検査(2023.8.22)
#28 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#29 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(++), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
臨床症状はPalpationがあり、その他はない。
Implantは#30のポンティック部に埋入されるそうだ。
PA(2023.8.22)
とても適合がいいとはいえないブリッジが装着されている。
#31はどうしたのだろうか?目が見えなかったのか?
とにかくデタラメだ。
また、日々の生活で食べ物も詰まるし、歯磨きもしにくい…という。
だからImplantがいい!と思ったが、根の先に病気があるとImplantに悪い影響を与える!というので治療したい!というのがこの患者さんの希望であった。
CBCT(2023.8.22)
頬側の皮質骨が穿孔している。
これが、術前検査の圧痛の原因だろう。
他院では、この画像を見せられて
この歯は割れているから抜歯ですよ
と言われたという。
が、このブログの読者の方はご存知だと思うが
割れているかどうか?は、歯を抜いて直接見ないとわからない。
したがって、実際の治療の結果でそれは決まるのである。
以上の画像を見たときにまずピンとくるのは根尖部の石灰化である。
穿通できるだろうか?
が、寒天+アルジネートで印象して作られたパラの不適合冠がすでに装着されている。
ということは、穿通できなくても治癒していく可能性はある。
つまり、穿通は必須ではないのだ。
もし治癒しなければ、Apicoectomyを行えばいいのだから。
歯内療法学的診断(2023.8.22)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Re-RCT
ということで、別日に治療へ移行した。
☆この後、臨床動画が出てきます。不快に感じる方は視聴をSkipしてください。
#29 Re-RCT(2023.9.26)
穿通ができなかったので、HyFlex EDM #10.05で穿通を目指したが…
残念ながら穿通できなかった。
また、RaCe EVO #10.04,#10.02もなかったのでここで根管形成は終了した。
MAFは#40.04で、#35.04のGutta Percha PointでBC sealerで根管充填した。
術後のPAは以下である。
さて、穿通しなかったこの歯は半年経過してどのようになっただろうか?
これで治る可能性はどれくらいか?
と言えば、60%程度である。
その際、術前に不適合修復物が装着されていればそれに入る可能性が高い。
さあ、半年経過してどうなっただろうか?
#29 Re-RCT 6M recall(2024.3.26)
術前にあった臨床症状が全て消失した。
穿通しなかったのに、である。
#30にはすでにImplantが埋入されていた。
理由は、
根尖病変が縮小化していたから
だ。
頬側の皮質骨も再生したのでPalpationも消失している。
ということで、半年の経過は良好である。
最終補綴へ移行してもいいだろう。
また半年後にこの方の経過をお伝えします。