紹介患者さんの治療。

主訴は、

歯に触れると痛みがある。入浴時に痛みが出る…

である。

紹介状には以下のような記載があった。


2024.2に近医にて

歯髄保存治療をした歯が何もしていなくても痛い

という主訴で来院されました。

当院にて確認したところ、

MBはステップ形成がなされ穿通できず、

DBは根管充填材が根尖孔から溢出、

Pは根尖孔の破壊が認められました。

その後の症状の改善もないのでご紹介させていただきました。

ご加療のほど、よろしくお願いいたします。


成人の歯にVPTをしても歯髄壊死するだけだ。

壊死する過程ではかなりの痛みを呈することになる。

そして痛み止めも効かない。

なので通常はそういう治療は、我々の業界(米国歯内療法専門医の世界)では、しない。

歯内療法学的検査(2024.5.27)

この際は、入浴時に痛いという主訴であった。

PA(2024.5.27)

仮封がなされている。

CBCT(2024.5.27)

MB

DB

P

歯内療法学的診断(2024.5.27)

Pulp Dx: Previously initiated therapy

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Re-RCT

CBCTではDBのパフを除き、根尖病変がない。

が、患者さんには痛みがある。

こうした場合は、

まずできること(根管治療だが、事実上の再治療)をして、

それでも問題が解決されなければ、外科治療(Intentional Replantation)である。

同日、治療が行われた。


#2 RCT(2024.5.27)

作業内容は上図のようになった。

最大の懸案はDBだろう。

Root ZXで何度計測してもRIL=8mmであったが、CBCTでは約12mmである。

私はこの場合は、Root ZXよりもCBCTの計測値の方を採用した。

つまり、DBはRIL=12mmとして根管治療を行った。

その理由はRoot ZXが常に正しいわけではないからだ。

が、その際、穿通できたファイルがK File #60である。

私が使用するのはHyFlex EDMであるのでその中でも最大のサイズ#60.02とすでに同じ大きさのファイルで穿通しているということは、DBは根管形成不可能であるという事実が突きつけられているということになる。

つまり、洗浄のみでどうにかしなければならない。

そんなことで主訴が解決するのか?は誰にもわからないが、できることをやるしかないのである。

MB

DB

P

ということで次回は半年後である。

またその後をお伝えしたい。