バイト先での治療。
患者さんは40代女性。
主訴は右下奥歯の冷水痛。
歯内療法学的検査は以下のようになった。
#29 Cold+2/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#30 Cold++1/10, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#31 Cold++2/12, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
PAは以下になる。
#30,31には歯髄に近接する修復治療がなされている。
この部分に両方とも冷水痛が激しくある。
歯内療法学的診断は以下になる。
Pulp Dx: Symptomatic Irreversible Pulpitis
Periapical Dx: Normal
Recommended Tx: #18,19→RCT+Core build up
である。
冷水痛が10秒程度持続して何でlingering painなんだ!と言うそこのあなた。
では逆に質問だが、それに関する正式なルールはあるのだろうか?
USCでも指導医によってその意見は分かれていた。
つまり何が言いたいのか?
そう、正しく歯髄の病態を検知することは不可能なのである。
予想しかできない。
その予想精度がたければ、根管治療に信頼性も高まるかもしれない。
痛いからちょっと削っときましょうね〜などという医療はアメリカには存在しない。
ということで2本の根管治療が始まった。
1本目の根管治療(#30=右下6番 2021.5.14)
伝達麻酔をしてCold testで歯髄の反応をチェックしている。
反応がなかったのでラバーダムをかけて根管治療へ移行したが…
1本目の歯内療法(#30抜髄)ではNi-Ti Fileがでまたしても折れてしまった…湾曲の比較的強いMB根だ。
折れたのはHyFlex #25.V(可変テーパー)である。
おいおい、どうなってるんだ…
やはり1回ずつで毎回使い捨てなければいけないのか???
しかし今は私の個人的な都合でコストがかけれない環境だ。
物は大事にしないといけない。
でも大事にしすぎるとこういうことになる。
しかしながらファイルが折れて予後が悪くなるというスタディはエンドにはない。
どうやって取るか?知りたければそういうセミナーにいけばいい。私は全く興味がないが。
ちなみに折れた部分には根尖病変はないので予後には問題はない。
ということで根管充填し支台築造した。
この1週間後に#31の根管治療を行うはずであったが…結論から言うとできなかった。
なぜか?麻酔が効かなかったからである。
自己分析するに、伝達麻酔の打つ部位が低すぎた気がする。
もう少し高い位置に打たなければならない。そう、Gow-Gates Techniqueを行うように。
また痛み止めを処方し、次回来院前に飲んでもらうことになった。
これであと笑気があれば完璧だが、前の歯科医院からなぜか?笑気が消えていたからもう私の手元にはない。でも大体誰が持っていったか?見当はついている。恐らくだが、あの人間だろう。いやあの人間しかいない。でも私はあの人間と今後付き合うこともないので、もはやどうでもいいし、それがなくてもできることをやればいいし、何より髄腔内麻酔で対応することができるので、もはやそれほどそれが必須!ということもない。(私はしつこい人間なのでこの話は永遠に研修会でするだろう。まあその本人はそんなことを気にするようなタマじゃないから問題ない?が。)
ということで別日に#31の歯内療法(抜髄根管治療)が行われた。
2021.7.7のことである。
MLとMBは合流していた。
言い方を変えれば、
MBがMLへ合流していた。
下顎の大臼歯はこのパターンが多い。
前回のブログでも似たようなケースがあったと思うが今回もまた同じ結果になった。
支台築造しこの日の歯内療法は終了した。
さて、ここからが結論であるがこのように歯内療法は複雑だ。
大臼歯の歯内療法をGPでも手をつけると言う悲劇を私は何度も目撃している。
今日も後輩から相談のラインが来た。それもやはり大臼歯だ。
そして左下6(#19)は既に抜かれていた。
何と、エンドの問題で抜歯である。
面倒臭かったのだろう。
ならエンドをできる人に紹介すればいいのに。
エンドの問題で抜歯なんてそもそもありえない。
歯科医師の学習レベルが異常に低いとしか言いようがない。
なぜそのようなことになるのだろうか?と私は心が痛くなった。
が、日本の患者(患者予備軍)の皆さん。
これが日本の歯科医療の一般的なレベルです。
もはや、どうしようもない。
周りで優秀な歯科医師を探すしかないがどうやって探せばいいの?と言う話だろう。
なのでそうした要望があり治療が必要な方はもう少しだけ待ってほしい。
今は動けないが、私ももう直ぐ(約3ヶ月程度)で娑婆に放たれるので…
今年の10月から?また新しい動きがスタートしますので。
もう少々お待ちください。