前回→根管形成のコツの公開①〜MB2はどのように根管に存在するか?そしてその形成方法について
に引き続き、今回は下顎の大臼歯の根管形成で役立つコツを公開しよう。
下顎の大臼歯の根管治療をあなたはどのように進めていくだろうか?
質問すると大概の先生がまずD根の作業長測定から行っている。
それは私も同意する。D根が比較的簡単なことが多いからだ。
ではその次はあなたはどこを形成するだろうか?
MBか?MLか?
私はこの次に形成するところはMLである。
なぜならMLはMBに比べて比較的ストレートであることが多いからだ。
これを記憶しておけばどのように臨床に役立つのか?といえば、まずMLを根管形成しようと思うだろう。
そしてMBはMLに合流したところまで行うのが鉄則だ。
ではどれくらいの確率で合流しているだろうか?と言えば以下になる。
35%という数字を聞いた時、あなたはどう思うだろうか?
大したことないなと思うか、これはすごい!と思うかどっちだろうか?
私はこれはすごい数字だ!と反応してしまう。
それがピンと来ない人はイチローの過去のメジャーでの打率を検索してみるといい。
打率が350以上だった年が何年あるだろうか?
2001年から引退までの2019年までの19年の間で4度だけである。(2001年と2004年の首位打者と2007年と2009年のみである。)
これを考えるとどうだろうか?
35%という数字がでかいなあと思うか、大したことねえなあと思うかどっちだろうか?
私は大した数字だと思う。
それを考えれば下顎の大臼歯の近心根が合流していくという数字はかなりインパクトがあるものだということがわかるだろう。
以下は実際の実習での映像である。
17.5mmの位置で合流していることがわかるだろう。
つまりここから、MLはApical foramenから-0.5~1.0mmまで形成し、MBは合流する17.5mmまで形成すればいいということがわかる。
ダブルで形成しなくてもいいし、形成過多になることもない。
あとは前回示した方法で合流地点まで形成して根管充填するだけである。
どうだろうか?
このように楽に考えると治療を早く進めることができる。
頭を使用しないといけない部分がこのようにきちんと治療にはあるのだ。
早く終われるということには意味がきちんとあるのである。
マイクロエンドコース、来年のBasic Courseではこのような根管治療のコツを惜しげも無く披露しようと思う。
期待してお待ちください。