紹介患者さんの経過観察。

治療を行ったのは2017年である。

過去記事は以下だ。

レッジを乗り越えた再根管治療〜#14 Re-RCTから5年経過

当時の主訴は

左上の奥歯が痛くて噛めない。歯茎を押さえると痛みがある

であった。

初診時歯内療法学的検査(2017.2.22)

#13 Cold+3/8, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#14 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

主訴が再現できている。

適切な治療を行うと主訴が改善できる可能性が高い。

初診時PA(2017.2.22)

初診時 CBCT(2017.2.22)

咬合面から見るとMB, DBの周囲に大きな歯槽骨の欠損がある。

これがImplantまで進行すると…問題が起きる。

それを何とか防ぎたいというのが、紹介してくれた先生の意向だろう。

MB, DBの根尖部には大きな根尖病変がある。

これを解決するにはMBのレッジを解消する必要がある。

DBはあまり根管形成されていないことから再根管治療で修正すれば治癒する可能性がある。

これに関してはBasic Course 2023マイクロRe-RCTマンツーマンコース2023で解説する。

聞きたい人は申し込みをお待ちしています。

ということで、レッジを以下の作業内容で修正して根管充填した。

ProTaper Gold&Edge Evolve時代の根管形成だ。

私は2つとも今は使用していない。

時代と共に使用するファイルは変化していく。

ここから時間が6年経過した。

私が倒れてからの時間はとてつもなく早い。


☆検査動画が出てきます。不快に感じる方は視聴をSkipしてください。


#14 Re-RCT 6yr recall(2023.3.6)

歯内療法学的検査(2023.3.5)

#13 Cold+4/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#14 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#14に存在していた術前の不快症状は全て消失していた。Sinus tractもない。

外科にならずに済んでいる。

主訴が解決したのである。

6yr recall PA(2023.3.5)

#14 Re-RCT 6yr recall CBCT(2023.3.5)

 

MBの根尖部にあった根尖病変は消失した。

そして、歯槽骨が回復している。

DBの根尖部の病変は根管形成で消失している。

術前の見通し通りになった。

いわゆる分岐部病変はない。

MB

術前の根尖病変は消失した。

DB

#14のDBに存在していた根尖性歯周炎は消失した。

歯槽骨で充満している。

やはりレッジができたMBが原因だったのだ。

P

Pには病変はない。

と言うことでこの6年間で患者さんの主訴は改善し、歯牙も保存することができた。

患者さんは結果に大満足であった。

術前と術後を比較してみよう。

術前(2017.2.22)vs 術後6年(2023.3.5)

CT撮影は4年に1回でいいだろう。

かなり回復しているので、患者さんもびっくりしていた。

歯内療法の力が出た症例と言える。

次回は来年の3月に再度Recallである。

その際の報告を少々お待ちください。