以前の歯科医院での治療。
患者は29歳女性。
主訴は
同じ歯(左下の根管治療=#19のRe-RCTを3度行っていた)を何度も治療しているが治らない。痛みも最近出てきた。
というもの。
前の歯科医院をドロップアウトしてネットで、まつうら歯科医院を見つけて来院した若い女性の患者さんだ。
来院した時は#19には仮封がしてあった。
#18には神経にかなり近い修復物が装着されている、とのこと。
歯内療法学的検査は以下のようになる。
#18 Cold++1/13, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#19 Cold N/A, Perc.(++), Palp.(+), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#20 Cold+2/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
PAは以下になる。
#19の遠心根には折れた器具?のようなものが見受けられる。
歯内療法学的診断は以下になる。
#19 Previously initiated therapy
#18 Symptomatic irreversible pulpitis
Recommended Tx
#19 Re-RCT
#18 RCT
その他、前歯の審美的な問題も気になるという。(Tekが装着されていた)
歯内療法学的検査は以下のようになった。
#7 Cold+3/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#8 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#9 Cold+1/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
PAは以下になる。
歯内療法学的診断は以下になる。
#8
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Normal
Recommended Tx: Re-RCT
ということで、必要な歯内療法処置は3本で3回で治療は終わるという説明をした。
実際の治療は以下のようになった。
①#19 Re-RCT(2018.5.14)
近心根のGutta Perchaを除去し穿通させた。
この際、穿孔はまだ封鎖していない。
遠心根もGutta Perchaを除去して破折ファイルの直前まで形成しポイント試適してPAを撮影した。
穿孔部位はMTAセメントで封鎖し根管充填した。
破折ファイルの方向とは別の方向が正しい、本来の根管であった。
したがって折れたファイルは除去していない。
治療中の模様だが、カルテを取り上げられてしまって記録がなくわからない。
その後、支台築造まで行った。
②この後、#18の根管治療が行われた。(2018.8.21)
根管形成し、ポイント試適した。
問題ないと判断し、支台築造まで行った。
③そして最後に上顎前歯の審美的な問題がある部分の再根管治療を行なった。(2018.9.3)
根尖が開いており、根尖病変もないためBC puttyで根管充填した。
古いGutta Perchaは取れなかった。
が、取る必要性はこのケースではない。
もちろん取れるに越したことはないが、取れたから何なんだろうか?
この辺りの詳しい話は、Basic Course 2021の第8回で行う予定である。
この後、支台築造を行い前歯の治療は終了した。
この後、しっかりした補綴治療を行える歯科医院を紹介してほしいと言われて私は紹介した、のだが。
4ヶ月後も経過観察に来ていただいたがそこでこの患者は私に文句をいうのである。
以下がPAである。(2019.1.22)
まず彼女がいうには
①その某歯科医院にプロビジョナルレストレーションの印象をしに行ったがあまり歯を磨けていない、とかでいきなりブラッシング指導に変更された。
②毎回、歯磨き指導でいつ終わるのか?先が見えない。ぼられているのではないか?
というものであった。
しかし、私がそれ以上に驚いたのは彼女の前歯である。
私が治療した部位は1本だけだったはずだが…
前歯4本がプロビジョナルレストレーションに変更されていた。
私は思わず、彼女に質問した。
あれ?前歯って仮歯が複数本入ってますけど、ここってどうしたんですか?
ああ、その歯科医院に行ったら全部やったほうがより綺麗になるよって言われたんで。まあいいかなと思って治療しました。(まだ治療途中で終わっていないんだが。)
そしてこの後私は倒れたので、この女性が最終的にどうなったか?そして私が治療した部位に問題が出ていないのか?はもうわからない。
どこか別の歯科医院に行かれているのか?まだこの某歯科医院に行かれているのかは不明だ。
しかし。
なぜここの先生はこのような治療方法を選んだのだろうか?
私にはわからない。
何のための補綴治療だろうか。
補綴治療は人間の人生を救うことはできない。
仮にできるなら?それは多数歯欠損だけだ。
それ以外ではその存在価値は極めて低いと言わざるを得ない。
そもそも、世の中にクラウンにしてみたい、変えたいという人間がいない。
より綺麗になる、より機能的になるしか治療への誘い水がないのだ。
私もこの患者さん本人に会ったら、なんでこういう治療したの?と改めて聞いてみたいと前から思っていたが、倒れてしまい前の歯科医院はお取り潰しになったため、いまだにその本当の理由は聞けていない。
ということでこの患者との関係も切れてしまったが、その歯科医師とその歯科医院との関係も私が倒れてしまったため切れて、今はどうなっているのか?知りようがない。
人間他人を騙すより、騙されたほうがいいよな
と昔、ジャイアント馬場が言ってたけども、それに該当する症例&患者であった。
このまま何も起きていないことを私は祈っているが、さて今、どうなっていることやら。。。