週末は博多駅近郊某所でBasic Course 2021 第6回が行われた。

今回のテーマは根管洗浄である。

内容を変更して講義を行なっているので、この日は根管洗浄全般に関して講義を行うことになった。

米国の歯内療法専門医に洗浄液といえば何を使用するか?という質問を行なった論文がある。

以下が結果になるがあ、濃度に注目して欲しい。

ほとんどの歯内療法専門医が5.0%以上の次亜塩素酸ナトリウムを使用している。

こういう話はしかし、アメリカにいるときにほとんど話題にならなかった。

なぜだろうか?といえば、この薬瓶に書いてある情報をあなたは知っていただろうか?

製造時10~13%あったヒポクロの濃度は(瓶を開封すれば)2ヶ月で6%になるという。

あなたの歯科医院の次亜塩素酸ナトリウムをチェックして見て欲しい。

昔は緑っぽい色をしていたのに今透明でないですか??

それは何を意味しているのか?と言えば、濃度が下がったことを意味するのだ。

論文にもそのことは記載されている。

ということで濃度のことをやかましく語る歯内療法専門医はアメリカにはほとんどいない。

JOEでも今やそんな論文は見ない。

なぜか?もう決着がついている話だからだ。

そしてこの手の話題なれば必ずでて来る論文を読んで何が言えただろうか?

結論としてどのようなことが言えただろうか?

そして、根管洗浄を徹底的に行えば根管治療は成功しただろうか?

真実を見極めよう。

そして洗浄の論文になると毎回出て来るUSCの我らが?Dr.Oの話を今日もしたが最近悲しい出来事があった。

Dr.Oは亡くなったのだ…

彼は横須賀の米軍で歯科医師として働いていたという話を私がUSCにいたときによく話してくれたが話が長く話を切るのが難しかった。

そんなDr.Oが天に召されてしまったのだ。

話を元に戻そう。

この研究は次亜塩素酸ナトリウムを温めて歯髄の溶解性に効果が出るか?を見ている。

この文献から得られた知識は何だっただろうか?

常に次亜塩素酸ナトリウムは温めた方が良かっただろうか?

濃度が高いと術後疼痛が必ず出ただろうか?

濃度にこだわるよりも、何に拘らないといけなかっただろうか??

その一つ一つの理由と根拠が導き出せるだろうか?

導き出せれば問題はないだろう。

ここがよくわからなかった参加者の方はよく復習をしてもらいたい。

次にEDTAの使用方法である。

EDTAはどのようにして使用するのが世界的に受け入れられている方法であっただろうか?

今日の数分の時間でEDTAを制覇できただろうと思われる。

最後にこれは日本では認められていない薬剤である、CHX(クロルヘキシジン)の話もした。

抗菌効果があるが洗浄の4番バッターにはなれない。

その理由をあなたは言えるだろうか?

そしてそれでもあえてこのCHXを使用するとメリットは何だっただろうか?

そしてあなたはこの表を埋めることができるだろうか?

埋めれればあなたは洗浄博士だろう。

そしてこの3種の洗浄液をどのようにして使用するのが適切な方法であっただろうか?

最後に示したBasraniの洗浄のプロトコールは丸覚えする価値があるものである。

何度も見直して(もしくはユニット周りに貼って)知識を高めよう。

そして午後からはこの表の肝であるAgitationについて話をしていった。

Agitationには何があり、それぞれがどのような効果を発揮できるか?について解説した。

ニードル洗浄は正確にはAgitationではないが話の都合上、この部分に入れて説明している。

悲惨な事故を防ぐにはどのような注意が必要だっただろうか?

自分が今、何をしているか?そしてそれを使用するとどのような事態が引き起こされる可能性があるか?をきちんと把握しよう。

さもなければあなたは治療者ではなく、作業者になってしまう。

それでは歯科治療は楽しくならないだろう。

楽しく歯科治療をして欲しいものだと私は常に思っている。

楽しくやるにはその材料のいい面と悪い面を理解する必要があるのだ。

さらにマニュアルテクニックの中の方法としてあげられる、MDAとPatency Fileについて説明した。

事故を防ぐコツは何だっただろうか?

2つの近年のJOEからの論文で得られた知識は何だっただろうか?

Patency Fileをすると痛みが術後に出てその作用は増強されるだろうか?

であれば、なぜ米国の歯科大学院の50%でこのテクニックは行われているのだろうか?

正しく物事を理解しよう。

そして超音波・音波についての講義を行った。

この下の絵が示していることは何だっただろうか?

歯内療法の限界がここにある。

また実際のクリニカルスタディで得られた結論は何だっただろうか?

超音波は根管洗浄にマストの道具だっただろうか?

と言えば、あなたが今何のどんな根管治療を行っているか?で変わって来るだろう。

噂ではなく、事実に目を向けよう。

そして、音波についても解説した。

音波洗浄に関して解説するセミナーはおそらく日本では私のエンドセミナーだけであろう。

音波にはどのような道具があってどのような洗浄効果があっただろうか?

音波のスケーラーの動きをあなたは確認できただろうか?

かつてRuddleとvan der Sluisの間で起きたUltrasonic vs Sonicの議論はどのようなことだっただろうか?

そしてどちらがより理論的な結論を出しただろうか?

それはこの計算式で全て説明することができたがあなたはその方法を学べただろうか?

この計算式を理解するのに必要な知識は日本語に対する理解である。

貴方は、振動数と振幅が何か?きちんと説明できるだろうか?

説明ができればこの式の謎は解くことができるだろう。

最後にNegative Pressureの話を行った。

といっても、エンドバックは日本では販売されていないし、非常に煩雑な道具である。

使用に耐えれないだろう。

が、頭のいい人はいるようで似たような器具を作成?して臨床利用している。

その点について解説した。

最後に今日説明した各種Agitationの水溶液に対する作用のあり方を図示し、説明した。

(あなたはこのブロックを埋められますか??)

結論的には唯一無二の根管洗浄液などないということがわかっていただけただろう。

そして根管洗浄よりも重要なことは何だっただろうか?

それがつかめれば、あなたはこのセミナーに参加して良かったと言えるかもしれない。

頭を鍛えなければ、貴方は昨日の貴方を超えることはできないのである。

明日はもっといい自分になるとしたら、学習しかないだろう。

もっと学習できる環境を提示してあげれれば、と強く思う。

ということで長い1日は終了した。長時間お疲れ様でした。