バイト先での経過観察。

患者は60代女性。

右上の臼歯部の冷水痛が主訴であった。#2にはMetal Inlayが装着されている。

歯髄検査を行った。

#2 Cold+1/20, Perc.(+), Palp.(-), BT(-), Perio pocket(WNL), Mobility(WNL)

#4 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio pocket(WNL), Mobility(WNL)

PAを撮影した。

以上より歯髄、根尖部歯周組織の病名は以下のようになる。

Pulp Dx: Symptomatic irreversible pulpitis

Periapical Dx: Normal

なぜこの健全そうに見える歯牙に抜髄が必要なのか?といえば、

Inlay修復とそれに伴う歯髄への覆罩材である。

このことはかつて深い虫歯があったことを示している。

ということで根管治療となった。

だが、近心根に注目してほしい。

私は近心根にレッジを作ってしまっている。

どこの会社のNi-Tiを使用してこうなったのか?記憶はない。

さてこの後私は脳出血で倒れたためこの患者さんの経過を追えないでいたがこの歯科医院でこの患者の予後を見ることができた。

それが以下のPAである。(2021.3.13)

Bridgeが装着されている。

上顎洞炎に関しては紹介された耳鼻科が、処置はできないと言われたので何もしなかったという。

現代では上顎洞炎を直すのには手術はしない、投薬のみだ!手術は一切しない。だから上顎洞炎の治療はもう諦めなさい!!と言ったからだという。

私は唖然とした。

耳鼻科の医者が上顎洞炎を直す方法がない!と患者に断言するとは…

じゃあ誰が耳・鼻の問題を解決できるというのだろうか?

あなたたちは何のために厳しい?受験戦争を勝ち抜いて医師になったのだろうか??

患者にエクスキューズするためなのか???

自分たちの権利を手放している…

歯医者でいういわゆる保険医と言われる人たちと同じ思想だろうか?

そしてこの国の医療は医科もおかしな方向に??向かっているのか???

そうでないことを祈りたいが、この患者さんはもはや上顎洞炎の治療に無関心である。

それよりも、以下のような感想を述べていた。


先生、良くなられて本当に良かったですね…倒れたと聞いた時にはかなりびっくりしましたし、私の歯に再び何かあったらどうすればいいのか?と悩みました…

体に気をつけて頑張ってください。

また来年必ず伺い様子をチェックしていただきたいし、今後問題があればまた処置をお願いいたします。

先生に処置していただきたいので。

本当に良かったです…

今後ともよろしくお願いいたします。

あっ、上顎洞炎はもう治療できないと言われました。理由はもう医科では手術などしないそうです。でも私ももう歳だし、別に痛くもなんともないのでもうそっちの治療はいいです(笑)”


あなたは患者さんからこのようなセリフを聞いたことがあるだろうか?

私は経過観察で患者さんと揉めたことはない。

耳鼻科の話は横に置いておいて、そしてもう一つ。

なぜレッジを形成してしまったのに問題が出ていないのだろうか?

それはこの歯が治療前に根尖病変のない純粋な抜髄歯だったからだ。

根尖病変もなく、健全な歯髄であれば根管治療を適切に行えば予後はマネージメント可能である。

これはそれを裏付ける治療といえよう。