バイトに行くと雇用主(employer)、雇われ人(employee)から様々な声を聞く。

うちの代診は働かない。

あいつは練習もせずにすぐ帰る!

などという雇用主からの不満。

そして、一方では

もっといい歯科医院はないのか?とか、

他に楽なところないですかね?とか、

もっと勉強できるところないですかね?とか、

いう雇われ側からの不満だ。

私は彼らの話を聞いていて思う。

どっちもどっちだな、と。

アメリカの話をしよう。

あなたが口腔外科医になりたいとする。

日本だと、大学の口腔外科口座に入局すればその道は開けるだろう。

お金も対して?かからない。

アメリカはどうだろうか?

といえば、口腔外科医になりたいのであれば、その大学の大学院に入らなければならない。

大学院にどうすれば入れるのか?といえば、面接等である。

そして、多くの関門を乗り越えてあなたは大学院生になれる。

しかし、入局すればあなたは多くのお金を大学院に支払わなければいけない。

たとえ子供がいても、である。

子供がいるのか、いないか?など大学院に関係ないことだ。

たとえば、私の同級生に韓国系アメリカ人がいた。

旦那さんは、USCの口腔外科の講座にいる大学院生で、彼女はエンドの講座に入ったが、程なく妊娠をした。

日本であればどうだろうか?

あいつは勉強しないといけないのに何を考えてるんだ!とか、そんなことしてる場合か!と非難?されるだろう。

しかし、アメリカは違う。

全員が、Congratulations!である。

そこには文化の違いもあるかもしれないが、それ以上に大きいのは彼らは社会的責任を既に果たしている。

どういうことか?

それは、彼らは多額の授業料を払っている。

年間で1,400万。それが3〜4年でいくらだろうか?

もちろん、手持ちのお金で払い切る学生はほぼいないだろう。

多くの場合、ローンで借りてその授業料は賄われる。

しかし、いずれにしてもお金を彼らは払っている。

一方、日本はどうだろうか?

あなたが何かの知識や技術を身に着けたいとして、あなたは研修会に1,400万も支払うだろうか?

支払うはずもないだろう。

例えば、アメリカで有名な歯内療法専門医にC.Ruddleがいる。

サンタバーバラのホテルまで彼の講演を聞きに行くのだが、朝家を出るのはだいたい4〜5時台だ。

なぜか?

高速が必ず渋滞するからだ。

また講義も朝の8:30から始まるからだ。

受付は朝の7:30〜始まる。

そして一緒に朝飯を食うことになる(が、アメリカの飯はまずい…)。

私は毎回、子供3人連れてこの研修会が開催されるホテルに宿泊し、家族でこの会合に参加していた。

彼の講義と実習を年に2回、それが2年で4回。しかも毎回話しは同じだ。

私の同級生の多くが2年生になり、これに出席せずに教授から教室から締め出されるという、お目玉を食らっていたがそれもそのはず、毎回話しが同じなんだから出ても意味ないだろう、ということである。

しかし、このラドルに臨床のテクニックをマンツーマンで教えてもらうとしたらあなたは彼にいくら払わないといけないか?ご存知だろうか?

1日に付き、$10,000である。つまり、1日で日本円で約100万が必要である。

そこまで気合を入れて?研修会に来る歯科医師など通常、日本にはいない。

高いな、とかボッてるよ、とか言う話になる。

が、誰がなんと言おうとRuddleは100万円だ。

なぜか?

彼はそれに見合うだけのものを投資してきたからだ。

アメリカの歯科大学を卒業し、歯内療法科の大学院に入り、ボード専門医になり、そして今の地位を築いている。

それがどれほどお金がかかり、彼が自分に投資してきたのか?日本人には永遠にわからないだろう。

が、彼の高い授業料はこれらのことを考えれば、当然なのだ。

つまり私が今日言いたいことは何なのか?といえば、アメリカはお金で責任という対価を支払っている。

だから尊重される。

が、日本人はどうだろうか?

雇われ側は、

どこかいいとろこがないか?とか、

どこか勉強できる歯科医院はないか?とか、

言うけれど、あなたは授業料をその雇用者に数千万も支払らえるだろうか?

雇う方も

あいつは働かないとか、

もっといい代診はいないのか?

というが、あなたはどういう基準でその歯科医師を雇ったのだろうか?

その歯科医師はTOEFL iBTを受けたのか?誰かからの推薦状があるのか?何を持ってあなたは雇い入れる!と決めたのだろうか?

アメリカと日本では人を雇い育てるということ自体がまさに大人と子供である。

大人が社会的に責任を取れるのは、唯一お金である。

事実、私の先輩のインド系のアメリカ人は10年で授業料を貯めてUSCエンドに入局したのだ。

が、日本はどうだろうか?

日本の歯科業界は新規者を雇い入れて回転するような組織だろうか?

以上を踏まえて私なりにこの問題に結論を出すとすれば、

雇う方は、若い歯科医師がいつまでも自分の歯科医院で機能すると思って雇い入れてはいけないということだ。

雇われる方は技術の習得を求めている。歯科医師会のつながりとか、人脈を期待して入局していないのだ。

そして、雇われる人も、何年もその歯科医院に腰がかけれると思ったら大間違いだ。

雇用者は多くの痛みや犠牲を払ってあなたに給料を払っているのだ。

お互いがお互いを思いやればこの問題は解決する?のかもしれない。(いや、解決しないか‥)