週末日曜日はAdvanced Course 2022 第3回が行われた。

テーマはIntentional Replantation。

Intentional Replantationはまずアメリカではどう言う扱いを受けている治療かどうかご存じだろうか?

最新の教科書を基にその扱いを調べてみると、やはりTorabinejadの外科の教科書だろう。Amazon等でも販売している。

この教科書は全てで約300ページある外科の大書だ。

そのうち、Intentional Replantationに関しては以下の部分しか記載がない。

抜歯の方法さえこれくらいの記述しかないのが現実だ。

 

歯牙の抜歯に関しては、

歯根膜をなるべく傷つけないように非侵襲的に抜歯しなければならない

と記載がある。

しかし、何が非侵襲的か?記載がない。

ペリオトームさえ禁忌なのか?

ヘーベルをかけるのもダメなのか?

ダイヤモンド鉗子のみで抜歯するのか?何も情報がない。

そればかりか、JOEやIEJのような1流?論文紙上でも如何にして抜歯したか?に関して全く記載がないと言う有り様だ。

これに関してはこの本に添付してある、TorabinejadのDVDを見てもらう方がいいだろう。

PAは以下になる。




ビデオの動画と教科書を照らし合わせると、

minimal damage to the periodontium=ヘーベルによる歯根膜への侵襲は許容

という話になる。

この時に触れる歯根膜の量が少ないほど予後は良好だといえる。

しかしこれに関してもいかほどか?に関しては定義がないし、そうしたことに言及している論文を私は知らない。


また、Intentional Replantationに関しての論文でJOEから2018年に出たものがある。

Becker 2018 Intentional Replantation Techniques: A Critical Review

そこに何が記載してあるか?といえば、以下のような記載である。

これを頭に入れて論文抄読してみよう。

まずどのような方法で抜歯するか?であるが、以下のような記述がある。


Tooth Extraction Method

Grossman, Guy and Goerig, and Tewari and Chawla reported the use of dental elevators either to loosen soft tissue or the tooth before forceps application. Most authors, though, were implicit that no dental elevators be used, and that the application of the dental forceps be limited to the tooth crown with no root contact.

脱臼させるタイプの抜歯を行う人たちは少数派らしい。

では、上記のTorabinejadのDVDは少数派の抜歯なのか?という話になる。

が、そこまでこの論文には記載がない。


私が習ったのは以下である。

この論文から言えることをもう一度復習しよう。

Intentional Replantationはどれくらいの時間で終えなければならないだろうか?

これも同じ著者である。

Intentional Replantation時に使用する溶媒は何が適切だろうか?

どのような溶媒を用いて抜歯すべきか?理解できただろうか?

Root Inspection Method

マイクロで精査したと報告している研究がほとんどないことからもこの分野の研究が広がっていないことを示している。

精査後は、歯根端切除である。

歯根端切除

しかしながら、何mm切断するか?に関して公式見解がいまだにないという事実だけがわかっている。

逆根管形成

超音波で形成した報告は1件しかない。

逆根管充填

MTAで充填されている研究はほとんどない。

たいていがAmalgamだ。

このことからも如何に論文と実際の臨床に誤差があるか?を物語っている。

Intentional Replantationを行える時間(作業時間)

2~3分という主張や、 31~50分という主張や、30分以下という主張や、15分以下という主張やさまざまであるが、

私がUSCの時にはサウジアラビアの同級生が2時間近く説教されながら治療していたのを思い出す。

そんな長くしていいのか?と質問したら、ここは教育の場だからOKという何ともいえない返事が来た。

が、そのあとこの大学院生の歯は機能していたが。

抜歯窩掻爬

掻爬する人、しない人、さまざまである。

歯牙固定

する人、しない人、様々である。レジンやメタルで連結する人もいれば何もしない人もいるが、

咬合接触を極力与えないようにすることが最大のポイントであると言われている。


そして、結論ではこのように語れている。

Contemporary techniques that adhered to modern endodontic surgical principles resulted in 85.0% to 96.8% success.

Studies by Setzer et al, evaluating success rates for apical surgery, concluded that when modern microsurgical techniques for root-end surgery were used, superior and more predictable success rates were achieved compared with traditional techniques.

Thus, these conclusions might be similarly expected if modern endodontic surgical techniques and materials are used for intentional replantation surgeries.


マイクロ+超音波+生体親和性の高い材料での逆根充⇨Apicoectomyの成功率 85~96.8%

⬇︎

マイクロ+超音波+生体親和性の高い材料でのIntentional Replantationの成功率も高くなるはず!


さあ、あなたはどう考えるだろうか?

気持ち悪い治療なのか?

予後に見込みが立つ治療なのか?

あなた自身が学習して学ばなければならない。

Intentional Replantationの講義に関しては、今までのものと内容をガラッと変更した。症例が多くなってきたのでCase Reportをふんだんに交えてお話しさせていただいた。

ということでこの日の講義も終了した。

次回Advanced Course 2022 は、

第4回 9/11 Intentional Replantation実習、Apicoectomyの予後、Lid technique、CBCTを用いた術前診断と治療計画立案(第7回について必要な知識、プレゼンの進め方についての説明)を

まつうら歯科医院で行う予定である。

持参物は根管充填した抜去歯牙(前歯+小臼歯)、逆根管形成チップである。

逆根管形成チップを折りたくない受講生は白水貿易の超音波チップをお買い上げください。お金に余裕のある人?はペントロンジャパンでお買い求めください。

次回は、9:30~入室可能である。

また次回は昨日お話ししたように、参加者に向けて特別の臨床的なコースも行う予定である。

楽しみにお待ちください。