バイト先での治療。
#8 Re-RCTを私が倒れた後の2020.1.30に行っていた。
その際の模様とそこから3年後の模様をお伝えする。
話はそれるが、私が一体どこでバイトしているのか?とこの前、うちの歯科医院で患者さんに聞かれた。
私が現在、バイトに行っている歯科医院は北九州 折尾の、
学研都市歯科・矯正歯科
のみである。
ここにはアメリカから帰ってきた2016年からずっと訪問している。
付き合いはかれこれ8年経過している。
治療した人もかなり増えた。
北九州から来られる患者さんはそこに行かれてもいいかもしれない。
ただ、私は月1回しか行っていない。
また、折尾以外の地域からも患者さんが増えて予約が取りにくくなっており、予約自体がかなり取れない状況になっているそうだ。
詳細は、学研都市歯科・矯正歯科に問い合わせてください。
話を戻す。
当時(2020.1.30)の主訴は、
かぶせた歯が痛い。見た目も気になるのできちんとやり直したい
であった。
#8,9には歯頚部の高低差がある。
これを是正する方法はある?のだろうが、患者さんはそこにはあまり関心がない。(し、私もそう言うことに興味がない)
しかも、笑って歯茎が見えるガミースマイルでもないのでそこも問題ないだろう。
ということで今回の問題はこの#8の痛みである。
#8の痛みが歯内療法の問題であれば…私は患者さんの主訴を改善できるだろう。
それをCheckしてみた。
歯内療法学的検査(2020.1.30)
#7 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#8 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#9 Cold+3/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
補綴である#8に痛みがある。
主訴を再現できたようだ。
PA(2020.1.30)
#8の根尖部には大きな根尖病変がある。
根管形成はレッジができてしまっている感じがする。
テクニカルエラーだ。
これとノーラバーダムがこの歯の痛みの原因である。
どうすればこの痛み(問題)を解決できるだろうか?
外科か?再根管治療か?
CBCT(2020.1.30)
#8の根尖には頬側の皮質骨を突き破る大きな骨欠損が存在する。
これをどのようにして改善していくのだろうか?
外科か?再根管治療か?
歯内療法学的診断(2020.1.30)
#8
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Re-RCT
推奨される治療は再根管治療とした。
理由は
根尖部が未形成
であるからだ。
この黄色い部分が未形成である。
細かいことかもしれないが、これは重要だ。
そして再根管治療であれば治癒に時間がかかるかもしれない。
うまく行かなければ外科治療へ移行するリスクもある。
が、患者者さんは外科治療を望まない方であったため
再根管治療へと治療計画は傾いた。
このように、
治療の内容を決めるのは患者さんで、我々歯科医師はそのアドバイス(手助け)ができなければならないだろう。
我々の存在はその程度のものである。
何せ歯科疾患など、命にかかわる病気ではないのだから。
と言うことでこの日に治療へ移行した。
#8 Re-RCT(2020.1.30)
レッジを修正して根管充填したが、このバイト先に当時は物品がなかったため満足な根管充填像が得られなかった。
が、それは仕方がない。
ここからは時間の戦いだ。と言うことでこの日の治療から3年後の2023.2.28に経過観察となった。
#8 再根管治療 3yr Recall(2023.2.28)
初診時の主訴は改善されていた。
今はいかなる痛みもなく、快適に過ごせていると言う。
根尖病変はかなり縮小していた。
CBCTも撮影した。
根尖病変はかなり縮小している。
頬側に皮質骨が喪失していた部分は回復していた。
再生したのだ。
これが真の再生療法だ。
治療前後を比較した。
かなり骨欠損が回復しているのがわかるだろう。
時間経過はこのように再根管治療にはかかるけれども、予後をみていく上では重要な因子と言えるだろう。
しかし…
たったこの部分を根管形成しただけでここまで治癒するのだ。
そして根管充填がしょぼくても問題がでないということもわかる。
このことは以前の記事で指摘したとおりである。
もう一度この時の記載を引用しよう。
この症例で私はUSCの先輩でもある、
Sabeti 2006 Sabeti 2006 Healing of Apical Periodontitis After Endodontic Treatment With and Without Obturation in Dogs
の文献にあるこの言葉を思いだす。
In conclusion, teeth do not fail because of poor filling but because of poor cleaning and shaping.
The success of endodontic treatment will ultimately depend on the elimination of microorganisms, host response, and mechanical closure (coronal seal) of treated root canals that may provide a potential for future bacterial contamination.
またエンド専門医がラバーダムかよ!と肩肘張らずにあなたも臨床に取り入れてみましょう。
世界が変わるかもしれません。
そしてかつてFriedmanが言っていたように、
Endodontistとして重要なのは綺麗な根管充填の写真ではなく、ラバーダムするなど細菌の減少に配慮した臨床である
と言う論陣は意味を成していることは言うまでもないだろう。
最終補綴も以下のように装着され、日常生活に問題はないとのことだった。
と言うことで3年リコールが終了した。
次回は、4年リコールの2024.2である。
そこで一定の決着がつく。
その際に、再度状況をお伝えしたい。